豪華キャストの“胸アツ”な瞬間は?『春に散る』初日舞台挨拶オフィシャルレポート到着!

(C)2023映画『春に散る』製作委員会
8月28日(月)

ノンフィクションの傑作『深夜特急』三部作をはじめ、数々のベストセラーを世に放ってきた沢木耕太郎が、半生をかけて追い続けてきたテーマは、ボクシングを通じて〈生きる〉を問うこと。その集大成ともいえる最高傑作『春に散る』(朝日新聞出版)を、人間ドラマの名手、瀬々敬久監督(『ラーゲリより愛を込めて』)が、佐藤浩市と横浜流星を主演に迎えて映画化!本作が、8月25日(金)に公開を迎え、東京・六本木のTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて舞台挨拶が開催。佐藤浩市、横浜流星、橋本環奈、山口智子、哀川翔、小澤征悦、瀬々敬久監督が揃って登壇した。

沢木耕太郎の小説を映画化した本作だが、若い頃から沢木の著作のファンだったという瀬々監督。
“老いと若さ”が本作のテーマのひとつであることに触れつつ「年をとって、若い頃の憧れの人たちと仕事ができるっていいなぁと思って挑んだ作品です」と万感の思いを口にする。
佐藤は、撮影中に本作の仕上がりについてある種の“手応え”を感じていたそうで「流星をはじめ、窪田(正孝)やみんなのボクシングシーンを見た時に『これはいけるんじゃないかな』という確信はありました」とふり返る。
そのボクシングシーンについて、横浜が実際にプロボクサーのライセンスを取得したことも大きな話題を呼んだが、横浜は「ボクシングの試合というものは、格闘技を知らない方にはただの殴り合いに見えると思います。ただ、その中に緻密に計算された技術や駆け引きがあって、シンプルなんですが奥深くて、リングに立つとその人の“人生”が見えてきます。(自身が演じた)翔吾に関して言えば『いま、この瞬間を大事に悔いなく生きられたら』と思っていたし、翔吾には仲間がいるので、その周りの仲間の思いを拳に乗せて、ひとつひとつ、大事に闘志に火を燃やしてリングに立っていたので、彼らのファイトをお見せして、みなさんを心から熱狂させられたらいいなと思っています」と熱い思いを口にする。
そんな横浜らのボクシングシーンを共演陣も絶賛!小澤は「すごかったです。最後の試合を撮るのに、ぶっちゃけ4日かかっているんです。流星も窪田もずっとストイックにボクシングをしていて、こっちは応援している側ですが、その姿を見ているだけで、感動するんですよね。それがそのままスクリーンに反映されています」と称賛を送る。小澤はさらに、佐藤と横浜が現場で作り上げていった、仁一と翔吾の関係性についても「ひとつの目的に向かって掛け値なしに、何の打算もなく走ろうとする男の背中――セリフではなく、年の違う2人の男たちが同じものに向かっていく背中がカッコいいなと思いました」と羨望をにじませながら語った。

山口もボクシングシーンについて「物語であるけど、リアルなドキュメンタリー映画であると思います。本物だから! 本当の輝きだから!」と語り、そんな山口の姿について、佐藤は「智子さんが(試合を)見ているのを後ろから見ていると、すごくエキサイトしてて、お芝居だけでないエモーショナルな部分が出ているのがわかりました」と頷く。

ちなみに山口は、ボクシングジムの会長役を演じたが、本作に参加する以前は「どっちかというと、ボクシングはキライでした(苦笑)。痛くてつらくて、愛する人を巻き込んで命を懸けて血だらけになって…意味不明! というところから入ったんですが…」と告白。そんな思いを抱えたまま、本作のために寺地拳四朗 VS 京口紘人のタイトルマッチの観戦に足を運んだそうだが、試合を目の当たりにし「そこで心に浮かんだ言葉は『美しい』でした。嘘がなくて、そこに立ち現れる奇跡のような聖なる輝き――ボクシングってなんだかすごいんだ! って思っちゃったんですよね」とすっかりボクシングに魅了された様子だった。
橋本は、映像になったボクシングシーンを見て「先ほど流星さんが言っていた読み合いや心理戦の部分が伝わってきたし、全く長く感じなかったです。本当に戦っていると心から思ったし、一瞬、一瞬を見逃せないなというのを感じました」と興奮気味に語る。
その橋本は、佐藤演じる仁一の姪の佳菜子を演じたが「初めての静かな空気感の女の子で、すごく新鮮でした。芯の強い、明るい子を演じることが多いので、面白かったです」と笑顔を見せた。
横浜は、これまでにない橋本の姿に「とても新鮮でした。佳菜子の存在は翔吾にとっても大きいので、すごく影響されました」と語り、佐藤も「映画の中で、各々の背景をあまり謳ってないんだけど、彼女の役の出自やどういう人生を送ってきたかというのを、そこはかとなく感じさせるお芝居をしていたと思います」と惜しみない称賛の言葉を送っていた。

哀川は、仁一の昔からの仲間である次郎を演じたが「昔の仲間でありながら、距離のある難しい役でした」とふり返りつつ、佐藤との共演について「ふとしたセリフのないときに、芝居の中でものすごい(佐藤の)視線を感じて芝居をしてました。長い付き合いの中で、こういうお芝居をする機会ってなかなかないので、楽しくやらせていただきました」と嬉しそうに語った。

この日の舞台挨拶では、“胸アツ”な本作にちなんで、登壇陣が胸を熱くする瞬間について質問。あらかじめ答えを記入してもらったフリップを一斉に公開した。

「はじめてのおつかい」と書かれたフリップを掲げた橋本は「(『はじめてのおつかい』を)見ると必ず泣きます。成長に立ち会えてる気がして、お兄ちゃんやお姉ちゃんが(買い物の途中に)しっかりし始めたりする瞬間を見ると泣いちゃいます」と明かす。
山口の答えは「命のよろこびを感じるとき」。「私は特に踊っているときですね。肉体を使って『生きてる!』ということを踊りながら表現しているときです」と明かす。同じく“命”に関する答えを書いたのは哀川。「命の誕生」と書かれたフリップを手に「子どもが生まれた時、孫の誕生、たまにカブトムシが生まれた時――生命の誕生にはアツくなりますよ」としみじみ。
横浜の答えはシンプルに「映画」。「胸を熱くするものだし、心を豊かにしてくれるもの。中でも『春に散る』は自分も胸が熱くなりましたし、胸を熱くさせる自信がありますので、ぜひ観ていただきたいなと思います」としっかりと映画をアピール。会場は温かい拍手に包まれ、佐藤からは思わず「もう、この締めでいいだろ」という言葉も飛び出した。
佐藤(「初日」)、小澤(「佐藤浩市の…」)、瀬々監督(「いま」)の3人も、横浜と同じく映画、そして本作への思いを反映した回答。小澤は、上映前の舞台挨拶ということで「佐藤浩市の…」の「…」の部分の具体的な言及には避けつつ、本作での佐藤のあるシーンについて「このシーンをやれたことが胸アツでした。映画を観たらみなさん、おそらく感じると思います。3文字です。普段は観れない、すごく良いシーンです!」とこれから映画を鑑賞する観客に予告した。

「初日」という答えの佐藤は「やっぱり初日を迎えるまで我々はやっぱり不安なんです。この数年、コロナもあったし何が起こるかわからない。無事に初日を迎えられたことは、本当に嬉しいことなんです」と改めて公開を迎えた喜びを口にする。横浜も佐藤の言葉に深く頷き「公開できる、みなさんに見てもらえるのは当たり前じゃないので、まず無事に公開できることがどんなに幸せかというのを感じています」としみじみと語った。

最後の挨拶では、小澤は本作について「ひと言でいえば、愚直に生きること――愚かなほどに自分の気持ちに真っ直ぐに生きるということを伝えてくれる作品であり、この作品に参加できたことを誇りに思っています」と語った。
哀川は「いまを全力で生きる、そういう作品になったと思います」と語り、山口は「ボクシングが大好きな方も、大嫌いな方も共にグーッとくると思います。お楽しみください」と呼びかける。
橋本は「私の同世代の20代の方や10代の若い女性の方にも見ていただきたい作品です。最初は興味がなかったり、抵抗感があるかもしれませんが、必ず観た後に満足できる作品になっていると思いますし、これだけ胸が突き動かされて熱くなる作品は他にないと思います」と力強く語る。
横浜は「人生は選択や戦いの連続だと思うし、みなさんも日々戦っていると思います。そんな方々の背中を押すことができればと思うし、いまを大切に生きることの素晴らしさが少しでも伝われば嬉しいです」と客席に向かって語りかける。
佐藤は「痛いのが苦手な女性も、流星群(横浜のファン)じゃない女性の方も、楽しんでいただける映画だと思います。人生の第4コーナーを回って直線を向いた人でも、これから第1コーナー、第2コーナーに差し掛かるという人でも、同じようにこれからの人生、明日のこと、明後日のことを考えられる映画になっていると思うので、楽しんでいって下さい!」と熱いエール!
そして瀬々監督は「ボクシングは1ラウンド3分ですが、後楽園ホールでは電光掲示板に残り時間が出ます。残り時間が長い人も短い人も、どう生きるか? ということをテーマにした映画です。若い人もお年を召した人も、女性も男性も『どう生きるか?』ということをこの映画から持って帰ってもらえたらと思います」と語り、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。

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