ボルジア家の毒薬

1498年、ローマのカーニヴァルの夜。為政者ボルジア家の姫君ルクレチアは近く兄チェザーレの政策の犠牲としてナポリのアラゴン公と結婚する身。心の憂さに堪えかねてこの夜街へさまよい出ると、途中立寄った魔法使いの予言通り、彼女は眉目美しい青年と踊ることになった。抱擁を終えた二人は、数日後の結婚式でこの相手こそアラゴン公でありルクレチアであったことにはじめて気付き、暗かるべき結婚は彼らにとって全く予期しないよろこびに変った。アラゴン公は新妻にまつわる浮気女という忌わしい噂も忘れて彼女を愛そうとしたが、祝宴の催しに行われた囚人の焼殺や兵士を狙う騎馬猟を見せられると、ボルジア家に流れる血の残酷さに恐怖せずにはいられなかった。

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