蛇の穴

ロバート・カニンガムはジュニア・ヒルス精神病院に、ドクトル・キックを訪ねて、入院している妻ヴァジニアと面会させてもらった。美しかった彼女の顔は石の様に無表情で、ロバートを忘れているばかりか、凡ての記憶を失い、自分がカニンガム夫人であることも知らない。ヴァジニアを病室へ帰すとロバートはキックに、結婚前後の詳しい話をした。彼がはじめてヴァジニアに会ったのは、彼の勤め先のシカゴの出版会社であった。彼女は原稿を売りに来たのであった。それから交際するうちに、ロバートは彼女を愛する様になったが、急に彼女は姿を消してしまった。それから6カ月後、ロバートは、ニューヨークで偶然ヴァジニアに再会した。そして親交を新たにした彼は結婚を申し込み、なぜか余り乗り気でない彼女と結婚して数日後、ロバートは新妻が発狂しているのに驚いたのであった。

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