八月の鯨

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リビーとセーラの老姉妹は、長い人生の大半をともに過ごしてきた。彼女たちは、毎年夏になるとメイン州の小さな島にあるセーラの別荘にやってくる。かつてそこの入り江には8月になると鯨がやってきて、少女の頃、ふたりはよく鯨を見に駈けていったものだった。姉のリビーは、第一次世界大戦でセーラの若い夫が亡くなった時、彼女の面倒をみた。しかしリビーは病のため目が不自由になり、今度はセーラがふたりの生活をしきっている。そのようななか、リビーは他人に依存せざるをえない自分に苛立つことが多くなった。セーラは姉の世話を続けてゆく自信を失ってゆく。しかし昔のようにこの家を訪れる幼友達のティシャ、修理工のヨシュア、そしてロシアの亡命貴族というマラノフ氏との交流にささやかな憩いを見出す。彼女たちは、もう一度、あの青春の思い出、八月の鯨を見ることができるのだろうか。

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