ふたりの旅路

(C)Krukfilms/Loaded Films
不慮の事故により娘を亡くし、阪神・淡路大震災ですべてを失くしたケイコは、自分の殻に閉じこもったまま1人淋しく神戸で暮らしていた。夫とともにレストランを開く夢も、完成間近だったそのレストランも、夫さえも失った彼女は、誰も守れなかったという罪悪感に今も苦しんでいるのだ。震災から20年の月日が流れ、そんなケイコに大きな転機が訪れる。ラトビアの首都リガで開催される着物ショーに参加することになったケイコは、亡き娘の結婚式用にあつらえた黒留袖を携えて神戸の地をあとにする。 “バルト海の真珠”と讃えられる美しい街リガで行われた着物ショーの会場には、“日本の伝統美”にあこがれる市民が詰めかけていた。舞台上で黒留袖姿を披露することになっていたケイコは、本番中の舞台裏で不思議な体験をする。震災で行方不明になっていた夫が、彼女の前に突然現れたのだ。現実とは思えない出来事に戸惑うケイコは、ホテルやレストランにも出没する“夫”に邪険な態度をとり続ける。 翌日、料理好きなケイコは新鮮な食材が所狭しと並ぶ市場に足を運ぶ。そこでTVプロデューサーの目に留まったケイコは、料理番組の人気コーナー「クッキング・バトル」に出演することに。料理対決の前に収録されたインタビューで、ケイコは懐かしくもせつない食にまつわる思い出の数々を語り始めるのだった。 これを機に過去と向き合う力を取り戻したケイコは、その夜久しぶりに“夫”と穏やかな時を過ごす。自らの旅を通して、改めて自分が人生で大事にしてきたものを再確認することになる…。

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