あるセックス・ドクターの記録

(C)KADOKAWA 1968
ある夏、泌尿器専門の開業医根岸は、避暑に来ていた離れ小島で、大怪我をした少年を救った。出血多量で危ういところを、五人の男女が輸血のための献血を申し出たからだった。三カ月後、元気になった少年は両親に連れられて、根岸を訪問してきた。根岸はその時、少年に、明らかに早期梅毒の皮膚症状と分るオデキを発見して愕然となった。血液検査では両親は陰性だった。根岸は、少年に輸血のため血液を提供した五人のうち、誰かが濁った血を持っていたのだと確信した。やがて、医師としての責任上、根岸の調査が始った。

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