裸のいとこ

福島県南相馬市。あらゆる欲をもてあそんだ末、多額の借金を抱えた男は、被災地の復興作業のボランティアとして静かに暮らすことを望み、叔母の実家にひっそりと身を寄せる。そこで出会った苦しくも必死に、それでいて天真爛漫に生きる人々の中で、男の欲望は再びうずき始める。同時に、不思議なオーラを身にまとう叔母の娘と暮らすうち、その娘の型破りだが純粋な愛情に触れた男は再起を願い始める。しかし、強流の如き欲望の渦は歯止めが利かなかった。その忘我が臨海点に達したとき、忘れかけた現実がふたたび彼を襲う。