フタバから遠く離れて

(C)2012 Documentary Japan, Big River Films
2011年3月12日。双葉町民は1号機の水素爆発を耳にし『死の灰』を被った。町は全面立入禁止の警戒区域となり、1400人が250㎞離れた埼玉県の高校へ避難。地域社会丸ごと移転したこの高校は、まさに現代のノアの方舟と化した。 双葉町長井戸川克隆は、財政破綻した町を救うため7・8号機を誘致した原発推進派だった。しかし、町民が被爆に遭い、事故が長期化するにつれ、その信念が変化してゆく。 建築作業員・中井祐一さんは津波により家を流され、母を失った。農地全てを流された父とともに避難所暮らしを続けながら、震災翌日に予定された救助活動がベント・水素爆発により中止となったことを悔やんでいる。原発事故により助からなかった命は少なくない、そう訴えつつ、次の人生を模索してゆく。避難から3ヶ月後初めて一時帰宅が許され、無人地帯となった故郷へ帰還する彼が見たものとは…? 原発により1960年代以降経済的繁栄が約束されてきた場所・双葉町。町民は、いまだ奪われた家・土地・財産の補償を受けずに、5年以上とも言われる避難生活を続けている。 高校の教室に畳を敷き、10~20人で寝食を共にする共同生活。毎日のお弁当で命をつなぐも、肝心の原発事故は収束したのかどうか定かではない。時間が経つにつれ東北の復興が加速してきても、取り残されていく避難所の日々。 先進国日本の片隅で忘れ去られて行く人々。先の見えない待つだけの避難所の時間をカメラは9ヶ月にわたり記録。日本の原子力政策の成れの果てがここに凝縮されている。
公開日
2012年10月13日(土)
監督
舩橋淳
撮影
舩橋淳 山崎裕
音楽
鈴木治行 坂本龍一
出演
(ドキュメンタリー)
製作年
2012
製作国
日本
上映時間
96

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