そして、私たちは愛に帰る

アリは十数年前に妻を亡くし、定年も迎えた。トルコ出身の娼婦イェテルと出会い、月々の手当を払うかわりに、一緒に暮らしてくれるよう依頼する。一人息子のネジャットは、ハンブルクの大学で教授を務めている。彼は金に物言わせようという父のやり方をあまり良くは思っていない。だが、イェテルが娼婦として稼いだ金の大半を、トルコで大学に通っている娘の教育費として送金しているのを知り、気のいいイェテルが好きになる。だが、突然イェテルが亡くなってしまう。そして、この父親と息子の距離は遠くなった。ネジャットはイスタンブールに渡り、イェテルがトルコに残してきた娘、アイテンを探す。だが、政治活動家のアイテンは、トルコを逃れ、すでにドイツに渡っているのだった。ある日、アイテンは逮捕され、政治的亡命の許可を待つ数ヶ月間、収容されることになる。しかし申請は却下され、アイテンはトルコに強制送還の後、投獄される。