善き人のためのソナタ

2006年度米アカデミー賞で外国語作品賞を受賞。 ヴィースラー大尉は、シュタージ文化部長グルビッツから、劇作家ドライマンと同棲中の恋人・女優のクリスタを監視せよと命じられた。彼らが反体制であるという証拠を見つけるとう任務。彼はドライマンのアパートに盗聴器を設置し、屋根裏から監視を続ける。ある日、演出家のイェルスカがやって来た。彼は、監視システム・シュタージによって、あらゆる創作活動を剥奪され無力感にとらわれているのだ。イェルスカはドライマンに、「善き人のためのソナタ」という曲の楽譜を贈った。そして、「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」と言う。盗聴をするヴィースラー大尉は、盗聴器を通して聞こえてくる人間味あふれる言葉や愛、美しいソナタを聴いた。それらを耳にするうちに、自分の内面が変化していくのだった。愛しあっている二人を引き裂き、相互不信へと追いやってしまう理不尽な権力、支配者や支配される者の歪んだ世界。こうした事が、やりきれないリアルさで浮かび上がってきたのだった。

ShareSNSでシェアしよう!

TOP