狼の王子

(C)1963 日活
敗戦の混乱が続く昭和25年、北九州の一画にも、一群の浮浪児がいた。タケ、ギン、サブ、ョシ、カネだ。彼らは米兵のスキを見つけては、ポケットからドルをかっさらって生きていた。タケがそれらのボス的存在だ。いかつい体つきとファィトは、さながら狼の子供を見るようであった。米兵から鼻つまみにあいながらも、彼らはたくましく生きようとしていたのだ。そのタケ達が、日下万蔵に見出されたのは、韓国へ脱出しようとした時であった。五年の歳月の後、武二と名をかえたタケは、今では若松港の荷役を牛耳る日下組の若大将となっていた。しかし武二は五年前とはうって変った、ひかえ目な男になっていた。このことは、日下にとって大きな誤算であった。

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