インサイド・マン

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銀行強盗事件発生。犯人は行員や客数十人を人質として立てこもった。ネゴシエーターとして捜査指揮をとるD・ワシントン。銀行頭取の要請を受けて、事件に介入してくる敏腕美人弁護士のJ・フォスター。完全犯罪の実行者と嘯く犯人のC・オーウェン。演技力も存在感も雰囲気も、ハリウッド有数の実力派俳優による虚虚実実の駆け引きと対決は、まさに瞬時として目も耳も放せない、凝縮された緊張の連続で、息苦しくさえなってくる。しかも監督は社会派としての評価も高いスパイク・リー。単なるクライム・サスペンスでは終わらせてくれない。ひねりの効いた予測もできない結末は、思わず、やられた、と唸ってしまう。この練り上げられたストーリーは、やはり脚本が本当にしっかりしているからなのだろうが、この脚本家ラッセル・ジェウィルスは、今作がデビュー作だという。この名前はぜひ覚えておきたい。襲われた銀行内と、その周りを取り囲んだ警官隊。この狭い場所だけに限定されて進行していくストーリーは、まるで高度な舞台劇のような洗練された迫力を感じる。CGを多用した派手なアクションは無くても、役者の力と、監督の技量と、脚本のセンスで、映画はこんなにもスリリングで魅力に溢れたものになる。

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