私の頭の中の消しゴム

彼女は次第に記憶を失っていく。若年性アルツハイマーに冒され、恋人の顔も名前も、そしてついには自分が誰なのかさえ分からなくなる。そんな彼女を底知れないほどの大きな愛で包み込み、助けていこうとする男。しかし彼に出来ることは、ただ見守っていることだけだった。アルツハイマーをテーマにした作品としては、最近のヒット作「君に読む物語」が記憶に新しい。あの作品は、年老いて記憶を失くして行く妻への愛を描いた秀作だった。しかし、老年になってからの病と、まだ若いときに発症してしまった不治の病と、周囲の人々にとっての衝撃の大きさには大変な違いがあると思う。たとえ彼女の記憶が消えてしまっても、この僕の愛は消えることはない。究極といってもいい深い愛の姿を描いて、この作品は、観るものの心にも大きな衝撃を与えてくれる。ある種の極限状況に置かれた男が選択する、最期の決断。この愛の姿は、多分永久に消え去ることはないだろう。珠玉、という言葉が、この映画にこそふさわしい。
公開日
2005年10月22日(土)
監督
イ・ジェハン
脚本
イ・ジェハン
撮影
イ・ジュンギュ
音楽
キム・テウォン
出演
チョン・ウソン ソン・イェジン ペク・チョンハク
製作年
2004
製作国
韓国
原題
A Moment to Remember
上映時間
117
INTRODUCTION
幸せな日々を送る二人に、突然、悲劇が襲いかかった。彼女は愛した人のことも、これまで生きてきた、すべての記憶が失われていく。別れでもなく、死でもなく、忘却によって愛が終わっていくのだ。愛することの意味、究極の愛のかたち。そして希望が、かすかに絶望に打ち勝つエンディング。今いちばん新しくて、クラシックな愛の物語がここにある。2004年11月、韓国で3週連続NO1という大ヒットを記録した本作は、韓国映画界のラブストーリーを新たな次元に導き、世界中の人々の心に涙が流れた。映画の原作となったのは、読売テレビの連続ドラマ「Pure Soul ~君が僕を忘れても~」である。主演は、「ビート」「MUSA-武士-」のチョン・ウソン。圧倒的な存在感を誇り、他の追随を許さない韓国映画界のカリスマ俳優として高い評価を得ている。ヒロインは「永遠の片思い」「ラブストーリー」のソン・イェジン。「四月の雪」ではペ・ヨンジュン共演している。彼女は、完璧な美貌と才能としか言いようのない演技力を持つ、新たなラブストーリーの女王として国民的女優の道を着実に歩んでいる。監督は、BoAやリナ・パークなどのミュージックビデオや短編映画を数多く手掛けてきたイ・シェハン。脚色にはスカーレットレターの原作者で小説家のキム・ヨンハが加わっている。
STORY
チョルスは、工事現場で働く大工。スジンは、純粋な社長令嬢。なにもかも全く違う境遇の二人が突然で出会った。そして、すぐに恋に落ちてしまった。チョルスは、これまで愛を信じず独りで生きてきたが、彼女から人を愛すること、許すこと、そして信じることを教えられたのだ。そして、チョルスは大工から優秀な建築家へと活動を始める。スジンは才能あるファッションデザイナーとして活躍する。結婚。幸せな日々が続く。間もなくして、スジンの物忘れが深刻になっていった。医者を訪れたスジンは、「若年性アルツハイマー」と宣告されてしまう。どんどん記憶を失っていく彼女。その記憶をつなぎ止めるために、家中に何枚ものメモを貼り巡らせる。しかし、家族が誰なのか、自分が誰なのかすら分からなくなり、遂にはチョルスの目を見つめ、昔の恋人の名で「愛してる」と微笑む。そしてある日、仕事から戻ったチョルスが目にしたのは、スジンのいない家と1通の置き手紙。「記憶が残っているこの短い間に、どうしたら私の気持ちを伝えることができるでしょう。私はあなた、チョルスだけを愛しています。これだけは忘れたくない。忘れちゃいけないのに。私の記憶を奪っていくこの病気が、あなたの記憶だけは残してくれますように。それが叶わないなら、どうか、消えていく記憶の中で最後まで残っているのが、あなたと過ごした日々でありますように。」そして、映画は忘れられない幻想的な終章へと向う。
CASTING
●チョン・ウソン 1973年3月20日生まれ。ソウル出身。94年「KUMIHO/千年愛」で映画デビュー。97年「ビート」でアウトサイダー的に生きる高校生を演じ、第17回映画批評家協会新人男優賞受賞。「太陽はない」(98)のパンチドランカーのボクサー役や、「ユリョン」(99)の海軍エリート将校役を経て、01年「MUSA-武士-」では韓国の国民的俳優アン・ソンギやチャン・ツィイーと共演。野性的で骨太な演技で高い評価を得た。初期に出演した2本のテレビドラマ以降は一貫して映画の道を歩んでおり、作品ごとに違うイメージや演技をとことん追求する、人気・実力共に韓国映画界若手No.1の演技派俳優だ。その他の出演作には、「モーテルカクタス」(97)、「ラブ」(99)、「マッド・ボーイ」(03)など。 ● ソン・イェジン 1982年1月11日生まれ。韓国出身。ソウル芸術短期大学在学中の99年、化粧品メーカーのCMでデビュー。TVドラマへの出演で一気に注目を浴び、本格的な映画デビューは、カンヌ国際映画祭監督賞を受賞したオム・グォンテク監督作「酔画仙」(02)。主人公の初恋相手を見事に演じ、国内外に強い印象を与えた。03年には「永遠の片思い」に出演。テヒョン演じる恋人とイ・ウンジュ演じる親友の三角関係に悩む少女を演じ、映画評論家協会新人女優賞を受賞した。さらに「秋の童話」「冬のソナタ」のユン・ソクホ監督によるTVドラマ「夏の香り」の主演に抜擢。2005年今秋公開のペ・ヨンジュ主演「四月の雪」ではヒロインを務め、チェ・ジウやチョン・ジヒョンに続く国民的女優の道を着実に歩んでいる。
配給会社
20世紀フォックス映画

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