愛の神、エロス

それぞれに独自の視点で愛を描いて、世界的にも評価の高い三人の監督による珠玉の愛のトリロジー。ウォン監督が描く、ひたすら純粋な恋の姿。ソダーバーグが深く探求しようとする愛の深層心理。アントニオーニが追い求めようとする究極の愛。三者三様にとらえた愛の姿が、それぞれ30分ほどの時間に凝縮されていく。われわれは、あまりに気安く愛という言葉を使う。しかし、本当にその心の姿をだれが知っているというのだろうか。ギリシャ神話に登場する愛の神エロス。またはキューピッド。黄金の矢を放ち、恋人たちの仲を取り持つといわれながら、自分の矢に傷つきプシケへの激情に身を焦がしたといわれる。この三人の監督たちは、自らエロスとなって、スクリーンから観客へ愛の矢を放ってくる。ここにえがかれた三通りの愛の中には、だれもがかつて経験したような、あるいは現在経験しているような、そんな示唆に富んだシーンや会話がふんだんに出てくる。もしあなたが愛と言う不可解な迷路にはまり込んでいるのなら、抜け出すための最高の案内人になってくれることだろう。

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