陽のあたる場所から

研修医のコーラは、ある日病院で一人の女性患者と出会う。その患者は、何を問いかけても答えず、身分証明書も持っていない。彼女は、陽のあたる部屋で物思いにふけりながら、突如、嵐の音を聞き、パニック状態に陥って暴れ出してしまうのだ。コーラは何とか心を開かせようと、自分の身の上話しをしたり、勤務時間を越えてゲームの相手をしたり熱心に付き添う。コーラが疲れて家に帰ると、夜中に電話が鳴った。女性患者からの電話だった。夜更けに病院へと向かうコーラ。また、ある日、患者とともに森へと外出したコーラは、大木に夢中になっている彼女から隠れ、そっと様子を木陰から探と、一人にされた患者は泣き喚き、ついに「コーラ!」と言葉を発するのだった。それはコーラを探す患者の必死の言葉だった。そしてある日、いつものようにコーラは病院へ出勤したが、女性患者がいない。遂に彼女の身元が判明し、故郷へ強制送還されたのだ。彼女の名前はロアで、アイスランドから海を渡り、失踪していたのだった。もう少しで、治るかもしれないのに、強制送還という措置に納得がいかないコーラ。ロアを再度自分の病院に連れ翼し、治療を続けるために、コーラは一人アイスランドまでロアを訪ねる旅に出るのだった。