東京タワー

詩史は代官山の一等地でセレクトショップを経営している。彼女の夫は売れっ子のCMプランナーであり、二人は何不自由なく暮らしている。3年前のある日、詩史の友人が息子の透を連れて店に来た。それが出会いで、惹かれあう透と詩史。年齢や立場をいとも簡単に乗り越え恋に落ちたのだった。 透はいつも東京タワーの見える自宅のリビング・ルームで、彼女の好きな小説を読み音楽を聞きながら、詩史からの電話を待つ。透の友人である耕二は、駐車場で駐車に苦戦する主婦・川野喜美子と出会い、年上の人妻との恋が始まった。 耕二に彼女がいることを知っている透は、耕二の恋に反対する。透はずっと一緒にいたくても、それが叶わない詩史との恋に苦しみ、 耕二は、すべてをぶつけ激しく求め合える喜美子との関係をなくしたくないと感じていた。 こうして、 いつかは終わりにしなくてはならない、ふたつの恋愛模様が進んでいく。ある日、透や耕二、耕二の彼女や吉田の集まるプールバーに、 耕二への思いを抱え切れなくなった喜美子がエプロン姿のまま乗り込んできた。一方、透の恋。抑え切れない思いを抱え詩史はついに、透を軽井沢の別荘へ誘うのだった。時間を忘れてふたりで過ごせるのは、初めてのことである。朝までずっとそうして過ごせるはずだった。しかし、そこには予期せぬ来訪者があった。