オーバー･ザ･レインボー

ジンスは天気キャスター。ある雨の夜、交通事故に遭ってしまう。職に復帰したが、顔の見えない女性の幻覚を見たり、ここ数年の記憶の一部を失っていたり、また電話に覚えのない女性からメッセージが入っていたり。そんな時、顔の見えない幻覚そっくりの女性の写真が出てきた。その写真の裏には、8年前の日付けと「日差しの跡」という文字が書かれてあった。ジンスが大学時代に撮ったようだ。病院でジンスは部分記憶喪失と診断された。彼の心には、誰かを愛していたかすかな記憶が残っていた。彼は、大学の同級生ヨニに記憶を取り戻すために協力を頼んだ。レストランや夜景を臨む遊覧船、屋台などでジンスはヨニに何度も会い、記憶を辿っていく。大学時代、誰も知らないジンスの愛する人をみんなで「虹」とよんでからかわれたことなど、ヨニの語る言葉で青春の日々が甦っていく。そして、会うたびに、今のヨニに惹かれていく。ヨニもジンスとの時間は、心癒されるひとときとなっていた。そして、ジンスは今の自分が愛しているのは、過去の恋人ではなく、今目の前にいるヨニだと気づくのだった。未来を語る天気予報士のジンスと、忘れさられたものを大切に補保管する地下鉄忘れ物センターで働くヨニ。二人は未来へと踏み出そうとしていた。そんなある日、ジンスの「愛する人」についての手がかりが、地下鉄落とし物センターに届けられていた。