イブラヒムおじさんとコーランの花たち

一人の老人と一人の少年の、心の交流を通して、さりげなく人生を語る、情感豊かな佳作。舞台はパリの裏町、トルコ人の移民イブラヒムおじさんの食料品店には、向かいに住む、父と二人で暮らしている貧しいユダヤ人の少年モモが、出入りしている。無口でとっつきの悪いおじさんだが、モモにだけはやさしい。そんなある日、家を出て行ったモモのお父さんが交通事故で亡くなったとの知らせが入る。一人ぼっちになったモモには、もうおじさんよりほかに頼る人はなかった。おじさんも彼を暖かくむかえる。おじさんは、コーランの教えをモモに説いて聞かせる。
公開日
2004年11月20日(土)
監督
フランソワ・デュペイロン
脚本
エリック=エマニュエル・シュミット フランソワ・デュペイロン
撮影
レミ・シャブラン
音楽
フランソワ・デュペイロン ミシェル・ペタン ロラン・ペタン
出演
オマー・シャリフ ピエール・ブーランジェ ジルベール・メルキ イザベル・アジャーニ イザベル・ルノー ローラ・ネマルク
製作年
2003
製作国
原題
MONSIEUR IBRAHIM ET LES FLEURS DU CORAN
上映時間
95
INTRODUCTION
本作は、エリック=エマニュエル・シュミットがコーランと実在した祖父の思い出を元に描いたベストセラーの映画化。2004年度のゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞にノミネートされるなど、世界各国で絶賛された珠玉の感動作だ。イブラヒムを演じるのは、『アラビアのロレンス』(62)でアカデミー賞候補になって以来40年以上も国際派スターとして活躍するオマー・シャリフ。本作でヴェネチア映画祭の特別功労賞、観客賞を受賞したほか、セザール賞の主演男優賞も受賞。ゴールデン・サテライト賞の助演男優賞にもノミネートされた。モモを演じたのは、ピエール・ブーランジェ。本作がデビューとなる全くの新人ながら、演技は批評家の賞賛を浴び、シカゴ国際映画祭では主演男優賞に輝いた。その他、『逢いたくて』のジルベール・メルキ、『ヴィドック』のイザベル・ルノーといったベテランが集結。また、女優役でイザベル・アジャーニが出演している。
STORY
時代は1960年代はじめのパリ。13歳のユダヤ人の少年モモは、ブルー通りのアパルトマンで父親と暮らしている。母親は彼が生まれてすぐ、兄のポポルを連れて家を出て行った。、優等生だったというポポルと比べられ、父から小言を言われることが、モモはうっとうしく思っている。そんなモモの最大の関心事は、はやく初体験をすませること。アパルトマンの窓から娼婦たちの姿を眺めながら、誘い方の練習に励むのだった。意を決した彼は、貯金箱の小銭を持って、通りの向こうにあるトルコ移民の老人の食料品店へ両替に行った。店主のイブラヒムは、彼の目的を知っていたが黙ってモモに札を手渡した。16歳だと年齢をごまかして娼婦を誘い、オトナの仲間入りを果たした。ブルー通りに映画の撮影隊が来た。近所の人たちや娼婦たちと一緒にモモも見学する。イブラヒムの店で女優が買い物をした時、彼は水を5フランで売りさばいた。それを見たモモが「ぼったくりだね」と声をかけるが、イブラヒムは、「君がくすねた分を取り返さなくちゃ」と言った。モモはおつかいのついでに缶詰を万引きしていたのだ。弁償するからと言うモモに、「弁償しなくていい。でも、盗みを続けるならうちの店でやってくれ」と答えるイブラヒム。モモ家の家計の苦しさを知っている彼は、余ったパンをあぶって食べる方法や、ティーバッグを乾かして再利用する方法などをモモに教えてやった。モモはイブラヒムから父親にはない、大きな愛情を感じるのだった。
CASTING
●オマー・シャリフ(イブラヒム) 1932年4月10日生まれ。エジプトのアレクサンドリア出身。 1955年にエジプトで映画デビュー。中東圏の大スターとなり、フランス映画にも出演。58年『Goha』がカンヌ映画祭の審査員賞を受賞し、国際的に注目された。62年超大作『アラビアのロレンス』に出演し、アカデミー助演男優賞にノミネート。主な出演作は、『ドクトル・ジバゴ』(65)、『将軍たちの夜』(66)、『ファニー・ガール』(68)、『うたかたの恋』(69)、『オーシャン・オブ・ファイヤー』(04)など。 ●ピエール・ブーランジェ(モモ) 1987年8月8日生まれ。 本作で映画デビューし、シカゴ国際映画祭の主演男優賞受賞。「AN OLD FRIEND」(03)、『LE GRAND VENT』(04)に出演。 ●ジルベール・メルキ(モモの父) 『奥サマは魔女』(97)、『アイスリンク』(98)、『アンルーリー ~復讐の街~』(98)、『エステサロン/ヴィーナス・ビューティ』(99)、『逢いたくて』(02)などに出演。 ●イザベル・アジャーニ(女優) 1955年6月27日生まれ。パリ出身。 14歳から女優の道を歩み、『Le Petit bougnat』(69)で映画デビュー。75年『アデルの恋の物語』に主演し、アカデミー賞にノミネートされたほか、ニューヨーク映画批評家協会賞、全米映画批評家協会賞の主演女優賞を受賞。 その後、フランスを代表する女優として『ザ・ドライバー』(78)、『イシュタール』(87)などのハリウッド映画でも活躍。88年の『カミーユ・クローデル』で再びオスカー候補になった。
配給会社
20世紀フォックス映画

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