お父さんのバックドロップ

「新世界プロレス」の中年プロレスラー下田牛之助と小学生の息子・一雄が寂れたアパート「幸荘」に引っ越してきた。母親が他界し、牛之助の父・松之助と一緒の3人暮らしをすることになったのだ。プロレスが大嫌いな一雄は牛之助の職業を恥ずかしく思い、父親に心を開かない。焼肉屋を手伝う同級生の哲夫に、父親がプロレスラーであることをクラスメイトには内緒にしてほしいという“男の約束”を取り交わすのだった。牛之助はマネージャーから、団体の人気を盛り返すためにヒールに転向してくれと懇願されて一度は拒否するが、牛之助は仲間のレスラーをリストラしないことを条件にヒールに転向した。一雄のクラスでも父親がプロレスラーであることがバレて話題になってしまう。息子との溝がますます深くなっていることを感じた牛之助。どうしても尊敬してもらえる父親になりたい。そう考えた牛之助にできることは、やっぱりプロレスしかなかった。そして息子に自分が本気で戦う姿を見せるために、世界空手チャンピオンのロベルト・カーマンに挑戦状を叩きつけたのだった。