世界でいちばん不運で幸せな私

これがフランス風エスプリとウイットあふれるラブ・ストーリーなのだろうか。フランス公開時には、熱狂的な支持を受けて大ヒットしたという。おさな馴染のソフィーとジュリアン、子供っぽいいたずらを相手にさせる賭けをするのが二人の間でのひそかな楽しみ。こんなことできる?この賭けにのる?のらない?それは二人が大人になっても続き、次第にエスカレートしていく。本当はお互いに惹かれあいながら、素直に好きといえなくなってしまった二人。好きの気持ちさえゲームの対象にしてしまい、本心を口にできない二人。やがてそれぞれに別の相手と結婚するのに、心にあるのは、おさな馴染のことばかり。なんだかイライラするようなストーリー展開ながら、映像のシャープさと、フレッシュな感覚のカメラワークに魅せられて、つい引き込まれてしまう。どうも素直じゃないのは登場人物より製作者のほうではないのか。シニカルで、しかもアイロニーに満ちていると言えなくもないが、なんとなくスッキリしない後味が残る。男はいつまでも煮え切らないし、女は妙に未練たらしく、ストーカーまがいだ。たしかに、愛だ恋だという話は、なかなか一筋縄ではいかないから、手を換え、品を換え表現されてきた。そこにまた、飛び切り斬新な手段が発表されたということになるのか。この評価は、ただ観る人の感性にまかせるしかなさそうだ。

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