アドルフの画集

第一次世界大戦後の混乱の中、未来に対する期待と不安が渦巻いているドイツ、ミュンヘン。元軍人のマックス・ロスマンは、戦場で右腕を失ったが何とか帰還した。バレリーナの美しい妻、ニーナと人生を立て直すために、鉄工所の跡地に画廊を開くのだった。画廊で催されたパーティで、マックスは偶然、ポートフォリオを抱えた復員兵の青年に出会う。同じ戦地で戦ったことが分かり、二人はすっかり打ち解けるのだった。なけなしの金をはたいてスーツを買い、マックスに絵画を見せにやってきたアドルフだったが、”絵画から肉声が聞こえてこない”とマックスに言われ、すっかり落胆した。こうして、アドルフはマックスの言葉を頼りに芸術へ情熱を傾けるのだった。貧しい彼に対して、陸軍将校は宣伝のための演説をすれば生活の保証をすると彼を誘う。マックスは街頭で演説をするようになった。そして、芸術への意見を交わすうちに、二人の間には緩やかな友情が芽生え始めていたのだ。なかなかマックスの心を動かす絵画は描けずにいた。二人の芸術への意見がすれ違い始めたある日、マックスはアドルフが描いたデッサンに目を奪われる。マックスは近いうちにアドルフのために個展を開く約束と、その夜、残りのデッサンを見る約束をし教会へ向かう。そのころ、アドルフは代理での演説を任され、これを最後の演説にして絵画に打ち込むはずだったが、彼の反ユダヤ発言に観衆は狂喜する。アドルフが行った最後の演説によって、アドルフとマックスの運命が大きく動こうとしていた。

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