すべては愛のために

サラは裕福なイギリス人と結婚し、社交界で何不自由のない生活を送っている。ある日、義父の慈善活動の功績を讃える盛大なパーティに参加することから、彼女の人生が大きく変わってしまうのだった。華やかなパーティーの会場で、青年医師、ニックが痩せ細った一人の少年を引き連れて突如乱入してきた。荒々しく壇上にあがったニックは、冷ややかな視線を浴びせる参加者たちに向かって、「世界には今、この瞬間も死んでいく子供たちがいる」と語り始め、エチオピアでは飢えと病気が原因で毎日40人以上が命を落としていくという悲惨な現実を必死に訴えかけた。やがて駆けつけた警察に連行されていく二人。それ見つめながらも、サラの脳裏にはいつまでもその悲痛な叫びが焼きついていた。翌朝、少年が死亡したというニュースに強いショックを受けたサラは、私財を投げ打って援助物資を集め、単身遥かなる地、カンボジアへと向かう決意をするのであった。しかし、飢えと病が蔓延し、体力も生きる望みも奪われた難民たちを目の当たりにしたサラは、ただ呆然と立ち尽くしてしまう。そんな中、命をかけて懸命に救援に従事するニックの姿がああった。そのひたむきな姿に心を動かされたサラは、次第にニックに対し自らの中に生まれてはじめて感じる激しい情熱を抱きはじめる。だが、死の危険と隣り合わせの活動を続けるニックと社交界に生きるサラとでは、生きる道があまりにも違いすぎていた。二人は、互いに触れ合うことも、慰めあうこともないまま別々の人生を歩みはじめるのだった。それから5年後。ロンドンの国連難民高等弁務官事務所で働いていたサラのもとにニックとともに救済活動に従事しているエリオットからの電話。サラは、ニックがカンボジアで活動を続けており、再び援助を求めていることを知る。カンボジアの人々を救うため、そしてニックとの再会を果たすため、サラは再び異国の地へと向かう決意を固めるのであった。

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