復活

ネフリュードフは、裁判官に陪審員として呼び出された。そこには、かつて、恋をし、欲望のままに関係を持ち、やがて自分の輝かしいキャリアの為に見捨てたカチューシャがいた。彼女は、窃盗・毒殺で殺人の罪を問われた娼婦になっていた。その罪は明らかに無実であった。しかし、裁判の手続き上の不備から、彼女にシベリア徒刑が宣言される。目の前にいる娼婦にまで落ちぶれたカチューシャの転落した原因が自分にあり、その罪の深さを悟ったネフリュードフは、自らが犯した過ちに対する自責の念からいてもたってもいられなくなり、全ての地位と財産を捨て、あらゆる手段を尽くして彼女を救おうとするのだった。そして、贖罪の念から、彼女に結婚を申し込む。結婚を断られてもなお、シベリアまで追いかけてくるネフリュードフの献身的な愛情に次第に心を開くようになる。カチューシャはネフリュードフのことを愛していた。しかし、自分との結婚が、若くて輝かしいキャリアをもつ彼の人生を台無しにしてしまうと同時に、彼の愛が自分を愛してくれている真実の愛ではなく、良心の呵責からくる使命感・自責の念であることを十分理解していた。ネフリュードフの力の甲斐もあり、カチューシャに判決取り消しの特赦が下りる。自由の身となるその時、カチューシャは囚人仲間で、あるがままの自分を受け入れてくれる政治犯シモンソンとの結婚を決意する。カチューシャは、二人でネフリュードフの前から立ち去ることで、彼を贖罪の使命感から解放出来ると考えたのだった。二人は別々の人生を歩み出そうとしていた。
公開日
2003年11月8日(土)
監督
パオロ・タヴィアーニ ヴィットリオ・タヴィアーニ
脚本
パオロ・タヴィアーニ ヴィットリオ・タヴィアーニ
撮影
フランコ・ディ・ジャコモ
音楽
二コラ・ピオヴァー二
出演
ステファニア・ロッカ マリー・ボイマー セシール・ボワ マリナ・ヴラディ
製作年
2001
製作国
伊=仏=独
原題
RESURREZIONE
上映時間
187
INTRODUCTION
本作品の原作は、世界文学の巨匠、文豪トルストイ(1828-1910)の晩年の作品だ。若き将校ネフリュードフと召使いカチューシャの恋物語で、トルストイ作品の中でもとりわけ最高の悲恋物語として世界中の人々に今なお愛され続けている。今回、この大作の映画化に挑んだのは、『太陽は夜も輝く』(90)で、同じトルストイ作品である「神父セルゲイ」の映画化に成功したイタリアの巨匠パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟である。斬新なユーモアと、はつらつとした人間描写、ダイナミックでドラマティックな音楽と映像美で知られ、すでに日本にも数多くのファンを持っている。本作では昨年度のモスクワ国際映画祭でも並み居る作品を圧倒し、見事グランプリを獲得している。カンヌ国際映画祭グランプリと国際映画批評家大賞のダブル受賞という快挙を成し遂げた日本での第1回公開作品『父/パードレ・パドローネ』(77)以来、戦争の感じ方・考え方を本質的に捉えたアカデミー外国賞ノミネート&カンヌ国際映画祭審査員特別大賞受賞作品『サン★ロレンツォの夜』(82)、シチリアの大地に生きる人々の感情の輝きを叙事詩的に謳い上げた『カオス・シチリア物語』(84)、イタリア職人気質をユーモラスに人間味溢れる愛で描き上げた『グッドモーニング・バビロン!』(87)など、傑作を挙げるときりがないのだ。
STORY
ネフリュードフは、裁判官に陪審員として呼び出された。そこには、かつて、恋をし、欲望のままに関係を持ち、やがて自分の輝かしいキャリアの為に見捨てたカチューシャがいた。彼女は、窃盗・毒殺で殺人の罪を問われた娼婦になっていた。その罪は明らかに無実であった。しかし、裁判の手続き上の不備から、彼女にシベリア徒刑が宣言される。目の前にいる娼婦にまで落ちぶれたカチューシャの転落した原因が自分にあり、その罪の深さを悟ったネフリュードフは、自らが犯した過ちに対する自責の念からいてもたってもいられなくなり、全ての地位と財産を捨て、あらゆる手段を尽くして彼女を救おうとするのだった。そして、贖罪の念から、彼女に結婚を申し込む。結婚を断られてもなお、シベリアまで追いかけてくるネフリュードフの献身的な愛情に次第に心を開くようになる。カチューシャはネフリュードフのことを愛していた。しかし、自分との結婚が、若くて輝かしいキャリアをもつ彼の人生を台無しにしてしまうと同時に、彼の愛が自分を愛してくれている真実の愛ではなく、良心の呵責からくる使命感・自責の念であることを十分理解していた。ネフリュードフの力の甲斐もあり、カチューシャに判決取り消しの特赦が下りる。自由の身となるその時、カチューシャは囚人仲間で、あるがままの自分を受け入れてくれる政治犯シモンソンとの結婚を決意する。カチューシャは、二人でネフリュードフの前から立ち去ることで、彼を贖罪の使命感から解放出来ると考えたのだった。二人は別々の人生を歩み出そうとしていた。
CASTING
●ステファニア・ロッカ (カチューシャ) 1971年4月24日イタリア、トリノ生まれ。92年、演劇で初舞台を踏んだ。その後NYに渡り、「Poliziotti」(94)で映画デビュー。97年、『ニルヴァーナ』のヒロインに抜擢されて脚光を集めた。主な出演作は、「Inside/Out」(97)、『リプリー』(99)、『恋の骨折り損』(00)、「Hotel」(01)、「彼らの場合」(02/イタリア映画祭上映)、舞台ではトリノのスタービレ劇場で《ジャンヌ・ダルク裁判》(98)、《ポリグラフ (うそ発見器)》(00)の伊初演、そしてパリのオペラ・コミークで評判となった《イルマ・ラ・ドゥース(あなただけ今晩は)》など。 ●ティモシー・ピーチ (ネフリュードフ) 1963年7月25日ドイツ、バイエルン地方ミュンヘン生まれ。86年、ZDF製作の長寿シリーズ「Der alte」のエピソードでTVデビュー。主な出演作は、「Keep on Running」(90)、「Eine unheilige Liebe」(93)、「Im Innern des Bernsteins」(95)、「Rosamunde Pilcher」(96)、「Geregelte Verhaltnisse」(01)など。 ●マリー・ボイマー (ミッシィ) 1969年5月7日ドイツ、デュッセルドルフ生まれ。93年に人気TVシリーズ「Tatort」のエピソードでTVデビュー。95年、「Mannerpension (男の家)」のヒロイン役を得て映画進出。主な出演作は、Sieben Monde (第七世界)」(98)、「Der Schuh des Manitu (大物の靴)」(01)、「Der alte Affe Angst (不安)」(03)など。 ●セシル・ボワ (マリエット) 1970年12月26日フランス、ボルドー生まれ。ボルドー演劇院で学び、在学中は郊外のアマチュア劇団でも活動し、アヌイ作《ひばり》(87)、ジュネ作《女中たち》(88)などに出演。91年、映画『コレット/水瓶座の女』(91)に出演し注目される。主な出演作は、「Promnade d'ete」(92)、『ジェルミナル』(92)、「La place d'un autre」(93)、「Le mntreur de boxe」(96)、舞台では《Angelique, marquise desanges》のヒロインを演じてパレ・デ・スポールで160回公演など。 ●マリーナ・ヴラディ (老女公) 1938年5月10日パリ生まれ。48年、姉オディール・ヴェルソワと子役としてバレエ団の舞台に立ち、「Orage d'ete」に二人で映画初出演。4年、アンドレ・カイヤット監督『洪水の前』のヒロインでスターとなる。主な出演作は、『洪水の前』(54)、『飾り窓の女』(60)、『クレーヴの奥方』(61)、ドヴィル監督「愛すべき嘘つき女」(61)と『モナリザの恋人』(65)、『新・七つの大罪』(63)、『輪舞』(64)、『女王蜂』(65)、『オーソン・ウェルズのファルスタッフ』(66)、「Sirokko」(69)、「祭よ始まれ」(74)、『スプレンドール』(88)、『おろしや国酔夢譚』(92)など。
配給会社
アルシネテラン

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