夕映えの道

パリ20区、下町ルトレ通りは古き懐かしき風情が残る美しい町。ここに、一人で孤独に暮らす老女マドがいた。彼女と偶然に知り合ったのはイザベル。小さな会社を経営する独身で、女実業家だ。なぜか気になってイザベルはマドを放っておくことができない。マドは他人の干渉を嫌っていたが、友人として振る舞うイザベルには心を許すのであった。そのうちイザベルは、自分の生き方がすこしづつ変わっていくのを感じていた。そして、イザベルはマドと接するうちに、まだ遠いと思っていた“老い”の厳しい現実が見えてくるのであった。ある日、マドはイザベルに自分の生い立ちを語った。それは辛く厳しいマドの人生。しかし、若い頃の思い出をマドは生き生きと語るのだった。パリの街角で二人の女性の語り合う姿、人生とは、老いとは。
公開日
2003年9月20日(土)
監督
ルネ・フェレ
脚本
ルネ・フェレ
撮影
フランソワ・ラーティグ
音楽
バンジャマン・ラファエリ
出演
ドミニク・マルカス マリオン・エルド ジュリアン・フェレ サシャ・ロラン ベアトリス・ラルティグ アンジーラ・スアーレス パスカル・ベロー サラ・ジャンヌ・ドゥリロー フレデリック・ユルネ ポイ・シム アリス・サルファティ
製作年
2001
製作国
原題
RUE DU RETRAIT
上映時間
90
INTRODUCTION
イギリスを代表する女性作家ドリス・レッシングの原作。原作では物語の舞台はロンドンであるが、本作はパリの下町に舞台を移している。懐かしい町並みが残るパリの美しい町を背景に、二人の女性の交流をとおして老いと人生を見つめた珠玉の作品である。監督はルネ・フェレ。普遍的な人間のテーマを見事にとらえ、本国フランスでの公開時には批評家の多くの賛辞を受けた。この作品の製作では資金面での苦労が続いたという。ひとつひとつ乗り越え、製作費の不足を周囲の友情がカバーした。撮影にはデジタルカメラが使用され、狭い小路やアパルトマンで素晴らしい威力を発揮。撮影は、ルトレ通りにある監督の自宅周辺でおこなわれ、近所の住人、通行人、店の協力を得て進められた。マド役は新聞広告で「75歳以上の演技経験のある女性募集」としたところ、舞台や映画で女優として長いキャリアを持つドミニク・マルカスから応募の手紙があり、即座に決まった。イザベル役を演じたマリオン・エルドは、監督の隣の住人でもある女優。イザベルの元夫ポールを、ルネ・フェレ監督自身が、そして若い恋人フレッドを、監督の息子ジュリアン・フェレが演じている。原題は、撮影、編集などが行われた小さな通りの名前「ルトレ通り」。スタッフやキャストへの想いが込められた題名だという。
STORY
パリ20区、下町ルトレ通りは古き懐かしき風情が残る美しい町。ここに、一人で孤独に暮らす老女マドがいた。彼女と偶然に知り合ったのはイザベル。小さな会社を経営する独身で、女実業家だ。なぜか気になってイザベルはマドを放っておくことができない。マドは他人の干渉を嫌っていたが、友人として振る舞うイザベルには心を許すのであった。そのうちイザベルは、自分の生き方がすこしづつ変わっていくのを感じていた。そして、イザベルはマドと接するうちに,まだ遠いと思っていた“老い”の厳しい現実が見えてくるのであった。ある日、マドはイザベルに自分の生い立ちを語った。それは辛く厳しいマドの人生。しかし、若い頃の思い出をマドは生き生きと語るのだった。パリの街角で二人の女性の語り合う姿、人生とは、老いとは。
CASTING
●ドミニク・マルカス (マド) 82才。「天井桟敷の人々」(45)のアルレッティ、マリア・カザレスとの親交が深く、芸名ドミニク・マルカスは彼女たちが名付け親となった。舞台女優として長いキャリアを持ち、リュック・ベッソンの「ジャンヌ・ダルク」(99)、アキ・カウリスマキの「ラヴィ・ド・ボエーム」(92)等にも出演している。最新作は、ルネ・フェレ監督の「田舎の子供」(03)。 ●マリオン・エルド (イザベル) 演劇学校卒業後、舞台女優としてのキャリアをつむが、骨董の勉強をするため、10年以上映画界を離れていた。「夕映えの道」は、マリオン・エルドの映画界復帰作となる。イザベルの部屋は、実際のマリオンの部屋で撮影された。

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