クローン･オブ･エイダ

記憶の遺伝学的伝達を研究するエミーは、恩師シムスから受け継いだＤＮＡ記憶拡張装置を使って、19世紀のイギリスに生きるエイダとの交信に成功する。エイダは、英国ロマン派詩人バイロン卿の娘であり、『フランケンシュタイン』の作者メアリー・シェリーの親友、そして人類最初のコンピュー夕ー・プログラマーでもあった。エイダは、13歳で婚約し19歳で伯爵夫人となった。そして、結婚後も自由奔放に様々な異性関係を結んでいく。その中で、チャールズ・バベッジとの交流は、後に現代のコンピューター理論の基礎である“ディファレンス・エンジン＝解析機関”の発明を生み出すこととなるのだ。しかし、エイダは、3人の子供の子育てと自分の研究を両立することに苦悩し、次第に賭け事やアヘンにのめり込んでいく。エミーは、独創的で自身の研究に情熱を注ぐエイダの姿に、段々と自分の姿を重ね合わせていく。エイダがアヘンによって心身を蝕まれ、今にも失命の終わりを迎えようとしている時、クローンという技術によって自らの存在を後世に受け継いでいくことを提案するのだった。