北京ヴァイオリン

中国北部の田舎町。豊かに水をたたえた美しい風景と、人々の心優しい暮らしが今も残る。この町に、息子を一流のヴァイオリニストにする事を夢見る父子がいた。13才のチュンは、母親を2歳の時に亡くし、顔を知らない母親の面影を追い求めながら、母の形見のヴァイオリンを弾く。チュンのヴァイオリンの腕は町中で評判になっていた。二人はコンクールに出場するために北京へ行き、そこで著名な先生の個人指導を受けることになった。そのチアン先生は独身の変わり者で、部屋はだらしなく散らかり、ぼさぼさの髪で数匹の猫に囲まれて暮らしていた。腐敗した音楽の世界にうんざりして投げやりになっていたのだ。気乗りのしないチアンであったが、チュンのヴァイオリンの音を聞いて、音楽家としての魂が突き動かされた。そんな中、少年が奏でるヴァイオリンの旋律は、彼に関わる人々の心を癒してゆく。やがて少年は国際舞台に羽ばたく大きなチャンスをつかむが、それは愛する父との別れを意味していた。そしてその時、少年の出生の秘密が明かされる。