運命の女

世界的に社会現象まで巻き起こした「危険な情事」。 あの衝撃作を送り出したエイドリアン・ラインが、またやってくれた。なに不自由のない満たされた生活、しかし、それはふとした気持ちの揺れだけで脆くも崩れてゆくはかない虚構にすぎなかったのか。常に世の中の流れより半歩先を見つめ、社会的な問題提起をしてきた監督が、不倫という陳腐なテーマを、いかにショッキングに、斬新に料理していくのか。かつての「ナイン・ハーフ」のエロティシズムと「危険な情事」のサスペンスがミックスされた、スタイリッシュな映像は、我を忘れて夢中にさせてしまうほど魅力にあふれている。