母の曲

春子の夫純吉は大学教授で、娘の桂子も大学に通うことになった。二十年前、純吉は父の死で家が倒産したため、ピアニスト香苗との恋をあきらめて田舎の温泉に傷心の身を休めた。その時、彼を心から世話したのが宿の女中春子だった。二人は結婚したが、今では夫と娘との間に春子は教養の差がありすぎる事を感じた。純吉は香苗が今も独身であるのを知り、二人の間には未だに断ちきれない愛情が再び湧いて出た。そして桂子のためにも香苗を母に迎える事が幸せだと思ったが、桂子は無知な母親を愛するのは自分一人だと言い、母と二人で家を出てアパートに移り住んだ。

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