千姫御殿

(C)KADOKAWA 1960
大阪落城の際、坂崎出羽守に救い出された千姫は、坂崎の求婚を斥け、本多家に再婚した。が、千姫は吉田御殿にこもって遊興にあけ暮れた。大工の芳之助は一夜の伽を命じられたが、翌朝死体となって許婚者おかつに発見された。吉田御殿の悪評は紛々だった。本多家の若侍小林万次郎は、姫と刺しちがえて死ぬより方法はないと言い、自らその役を買って出た。しかし、万次郎は姫の美しさの虜となった。やがて、万次郎の死体も沼に上った。--千姫に、田原喜八郎と名乗る若侍が近づいた。幸若舞の名手で、毅然とした態度が千姫の心をうった。この二人の間の空気を察した、老女如月の目が光った。千姫の夢を破ったのは、芳之助の仇を討たんと、下婢として入りこんでいたおかつだった。

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