1987年に出版され、第 1回山本周五郎賞を受賞、日本を代表する名脚本家・作家、山田太一作の長編小説「異人たちとの夏」(新潮文庫刊)を、『荒野にて』(17)、『さざなみ』(15)など数々の賞に輝き、世界で絶賛された作品を送り続ける監督/脚本家 アンドリュー・ヘイの手により再映画化した『異人たち』が、現地時間12月11日に発表された第81回ゴールデングローブ賞におきまして、主演男優賞(ドラマ部門) にアンドリュー・スコットがノミネートされた。
ロンドンのタワーマンションで暮らすアダムは、12歳の時に交通事故で両親を亡くした40代の脚本家。それ以来、孤独な人生を歩んできた彼は、在りし日の両親の思い出に基づく脚本に取り組んでいる。そして幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で住んでいた。その後、アダムは足繁く実家に通って心満たされるひとときに浸る一方、同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちていく。しかし、その夢のような愛おしい日々は永遠には続かなかった……。

11月29日に惜しくも逝去された山田太一さんの原作による本作は、去る12月3日に発表された英国インディペンデント映画賞でも作品賞・監督賞・脚本賞・助演男優賞(ポール・メスカル)・撮影賞・編集賞・音楽監修賞等、主要部門を独占する最多7冠に輝くなど、早くも映画賞レースで圧倒的な存在感を示している。ヘイ監督は、傑作小説「異人たちとの夏」(新潮文庫刊)で描かれる山田氏のオリジナリティ溢れたストーリーに、独自の感性あふれる脚色と演出を加え、見事にアレンジ。現代のイギリスに舞台を移した奇跡の再映画化に挑み、時を超えて人々の心に残り続ける名作をスクリーンに蘇らせた。
アメリカ、テルライド映画祭でのワールドプレミア、第36回東京国際映画祭での国内初上映後にも、批評家、観客からの高評価が続く本作。RottenTomatoesでも97% fresh(12月11日現在)の記録をさらに更新中で、世界中から絶賛の声が飛び交っている。『ノマドランド』『シェイプ・オブ・ウォーター』などで米アカデミー賞作品賞を5度受賞したサーチライト・ピクチャーズが全世界に配給する本作は、早くもアカデミー賞(R)ノミネート最有力作品として、本年度の賞レースでさらなる注目を集めることは間違いない。
2024年春 全国公開