神様からの大ヒットエール?突然の豪雨でハプニングも!『ヴィレッジ』横浜流星、奥平大兼が公開を目前にヒット祈願!

4月17日(月)

藤井道人監督最新作『ヴィレッジ』。本作の公開を直前に控えた4月16日(日)、日本最古の芸能である能と現代エンタテインメントを融合させた本作にちなんで「ヴィレッジと能」と銘打ったスペシャルコラボトークイベントが東京・渋谷の金王八幡宮にて開催。主演の横浜流星をはじめ、奥平大兼、本作の能のシーンの監修を担当した塩津圭介(シテ方喜多流能楽師)が登壇した。

祈祷後、横浜らは神楽殿にてトークに臨んだ。本作のポスターの背景にも使われている兵庫県平之荘神社の野外能楽堂のイメージと同じく、背景に美しい松が描かれた神楽殿に登壇者らも感激の様子。公開前にもかかわらず、完成披露試写会などで本作を鑑賞した人々、そして各界の著名人からの多くの称賛の声があがっている本作。藤井監督の過去作に出演している舘ひろし、綾野剛ら映画界の人々からも絶賛のコメントが届いているが、これについて横浜は「たくさんの方がこの作品を観て感想をくださり感謝しています。この映画は、受け取り手の解釈に委ねる作品だと思います。全てのコメントを読ませてもらったら、みなさん本当に(コメントが)違っていて、興味深い言葉がたくさん並べられていて、どの言葉も印象に残っています」と語る。奥平さんも「大先輩のみなさんに観ていただけて嬉しいです」と喜びを口にし「横浜さんもおっしゃっているように、観る人によって見方が変わるし、演じた僕ですら、撮っている時と試写会のスクリーンで観た時で、解釈や見方が変わりました。いろんな方に観ていただければと思います」と想いを明かした。


大きな影響を及ぼした能の世界観と、横浜が挑んだ「邯鄲(かんたん)」という演目
指導に当たった塩津は「私は能楽師で、能しかやっておりませんので、映画に携わって俳優のみなさまとご一緒する機会はめったにないですが、かけがえのない機会をいただきました」と語り、さらに横浜と奥平のコメントを踏まえつつ「能というもの自体、観る人によって解釈が違うもので、そこをどうやって伝えていけるか、藤井監督と一緒に考えました。私も試写会で拝見しましたが、観るたびに見え方が違ってくるので、一度だけでなく何度も見返すと深みが出てくるものだなと思いますし、そういう部分は能と近いと思います」と能と本作の類似点について言及する。

映画の中では能の「邯鄲(かんたん)」と「羽衣(はごろも)」という演目が登場するが、とくに「邯鄲」は本作と同様に人生に悩む青年を主人公とした作品。この演目が選ばれた理由について、塩津は「最初に藤井監督やプロデューサーのみなさんと話をする中で、『一度、私の舞台を観に来てください』とお伝えして、そこで『邯鄲』をいたしまして、それを監督も横浜さんも観に来てくださいました。悩める青年が主題なのですが、藤井監督がぜひ『邯鄲』を裏に流しながら、この映画をつくっていきたいとおっしゃって、横浜流星さんも、その悩める姿をいろんな角度から演じてくださいました」と明かす。


横浜は、最初に観た塩津による「邯鄲」について「能の知識もないですし、解釈の仕方もわからなかったんですが、圧倒されましたし、魅力的でした」と述懐。そして「台本を読むと、美咲(黒木華)が能を見ながら『解釈は自分の自由』と言うんですよね。その時に自分が感じたことを大事にしようと思いました。この映画は『羽衣』と『邯鄲』という演目がメタファーになっていますが、『邯鄲』に関しては(横浜が演じた主人公の)優の人生そのものなので、いろんなことを思いながら舞っていました」と感慨深げに語る。

能楽師の舞う姿に撮影での日々を思い起こすキャスト陣
ちなみに、横浜演じる優が自分の部屋で「邯鄲」を舞うシーンでは、藤井監督から『もっとラフにしたい』というリクエストがあったとのことで、横浜は寝転んで能を舞っている。塩津は「そこが一番苦労したところ。我々は舞台の上で真剣勝負でやるしかないところで、横浜さんが演じた優も、黒木さん演じた美咲も日常生活の中に能があるんですね。それは、目指したいところではあるんですけど、我々にとっても、現代のみなさんにとっても、なかなか行き着きにくいところで…(苦笑)。でも、頑張ってくれました」と苦労を明かしつつ、横浜の奮闘をねぎらった。

その後、塩津は映画では、邯鄲のどの部分が舞われていたのか「さわりだけ、」といい、能舞台での実演を行った。それを見た横浜は思わず手ぶりをしつつ、実際に能に挑戦した経験について「基本を教えていただいて、体幹が大事だとすごく感じました。古典芸能は芝居の原点なので、実際に触れることができてよかったです」と笑顔で振り返った。奥平は映画の中で能に触れるシーンはなかったが「台本を読ませていただいて、気になっていて、京都で撮影していたのですが、休みの日に本屋に行って能の本を買って読んだりしていました。能に対してすごく興味がわいたし、観る機会があったらプライベートで見に行きたいです」と興味津々。これには塩津も「ぜひいらしてください!」と喜んでいた。


藤井監督は本作において、内面に秘めた感情や“余白”の部分を重視したというが、横浜は「優は感情を放出する術がないというか、わからなくなってしまった人間なので、内に、内に沈めていくというのを大事にしていました。ただ、感情のコップに水はどんどん溜まっていくので、いつあふれてしまうかわからない不安定も大事にしていました」と振り返る。奥平は自身が演じた龍太という青年について「最初からわりと明るい子ではあったけど、それが本音なのか?という一面もあったし、周りに合わせたりする年相応の子でもありました。後半になるにつれて気持ちや環境の変化もあってだんだん変わっていくので、そこも監督と話をしました」と役を演じる上で意識した部分を語ってくれた。

トークは盛り上がりを見せていたが、イベント中にポツリポツリと雨が降り出し、中盤にはかなりの大雨に…横浜は自身が“雨男”であることを自覚しているようで、屋根のない境内で取材する報道陣に「すみません、みなさん。僕が雨男のせいで…(苦笑)」と申し訳なさそう。雨脚がかなり強くなってきたところで、いったんトークは中断となったが、その後も一向に止む気配がなく、スペシャルトークイベントはここで無念の終了に…。

最後に「この雹(ひょう)が降るくらい、この映画を神様が喜んでくれていると解釈したいと思います。ぜひ皆さま、よろしくお願いいたします」と塩津が挨拶。奥平も「観る世代だったり観る人の環境で解釈が違う作品だと思っています。何年先でも観れる映画になっていると思うので、そういう所も楽しんでください」と映画をアピール。横浜は「公開まで1週間を切りましたが、たくさんの方にこの映画が届くことを願っています」と呼びかけた。そして「急なこの天候で、皆さん、申し訳ありませんでした。(報道陣に)すみません。雨に打たれてしまったと思いますので、みなさん、温かくしてください」と集まった報道陣を最後まで気遣っていた。


4.21(Fri) 全国公開

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