『いちばん逢いたいひと』監督・脚本を担当、丈のオフィシャルインタビューが到着!

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2月23日(木)

白血病を克服した少女と、そのドナーになった男の数奇な運命を、実話を元に描いた奇跡の感動作『いちばん逢いたいひと』より、丈監督の公式インタビューが解禁された。

10年ほど前、自身の娘が白血病になり、家族で乗り越えた経験を持つプロデューサーの堀ともこが、競泳の池江璃花子選手が白血病を乗り越え、東京オリンピックに出場したのを機に、「白血病と骨髄移植」、「ドナー登録」について理解を深めて欲しいと、少女が白血病になった二つの家族の物語が交差するドラマチックなエンターテインメント映画を企画。その想いに賛同した老若男女のキャストが集結した。
型が適合するドナーが見つかった時の心の底からの感謝の気持ちと、手紙1通でしか繋がっていないドナーとの運命的で目に見えない絆を身をもって知るプロデューサーから生まれた、生きる意味を改めて問う物語が誕生した。


白血病を乗り越え、初めて一人旅に出る大人になった楓役でAKB48のチーム4のキャプテンである倉野尾成美、白血病になった娘に寄り添う母・佳澄役で高島礼子、白血病で娘を亡くしたことで、自らドナー登録する柳井役に『北風アウトサイダー』で監督デビューも飾った崔哲浩、その田舎の母・祥子役で中村玉緒が出演。子供時代の楓役の田中千空、同室の白血病患者・与志役の海津陽など、子役の熱演も引き出したのは、脚本と康介役も担当し、本作が映画監督2本目となる丈。

『いちばん逢いたいひと』予告編

本作の監督と脚本を担当することになった経緯をお教えください。
プロデューサーの堀さんが僕の演劇作品をずっと観て下さっていたんです。僕が紡ぐセリフがとても気に入って下さっていたようで、映画を撮るなら僕に脚本と監督をお願いしたいと思って下さっていたそうです。2021年にコロナで公演が飛んだ時に、「映画を作りませんか」とすぐに連絡をくださって。1度会って堀さんの経験についてお話を聞いたら、感銘を受け、ストーリーもすぐできました。ドナーと提供してもらった患者さんは絶対に会ってはいけなくて、手紙のやりとりも1〜2回しかできないというのもものすごくドラマチックだと思って、このストーリーができました。

白血病の部分は、どのような取材をして書いたんですか?
堀さんと娘さんが実際に体験されていたので、堀プロデューサーの娘さんともお会いしてじっくりお話を聞かせてもらいました。白血病についてなど書物で調べたりもしました。


柳井役の部分はフィクションだと思いますが、柳井役を入れた理由を教えてください。
ドナーと患者を描きたかったんですけれど、ドナーも崖っぷちに立ってこそ、生きることと生と死とか、どうしても会いたい人だとか気づくこととがあると思い、柳井はそこまで追い詰めたいと思いました。ただの普通のドナーではなく、骨髄移植が、彼女だけでなく柳井の人生にとっても意味のある設定にしたかったので、命と向き合わなくてはいけなかった人物にしたかったんです。

瀬戸内のシーンは、ロープウェイが見えるタイミングや、電車が通っているタイミングなど、タイミングを測るのが大変だったんではないですか?瀬戸内のシーンのこだわりを教えてください。
楓の観光シーンは割とランダムにカメラをすごく回したんです。実際使用している分量の10倍くらい回して、いいタイミング、いい天気のものをピックアップしました。

倉野尾さんはどのようにキャスティングしたんですか?
主演の女の子は女優さんでもよかったんですけれど、女優さんってちょっとイメージがついている場合があるので、新人女優か主演に耐えうる人じゃないといけないと考えました。AKB48という大きな看板を背負って揉まれている人は、主演にも耐えられると思い、「AKBか坂道の子の中から選びませんか?」と堀さんに相談して、テーブルにぶわーっと写真を並べて、あとは楓のイメージを頭に描きながら見渡しました。そこから先は直感です。なるちゃんのプロフィールを気付いたら指さしてたんです。自分の直感を信じて正解でした。なるちゃんは器用に演じ華もあり、本当に主演に耐えうる風格までありました。


クライマックスのシーンは、どのように撮ったんですか?
僕は大体カットを割って細かく撮るんですが、あのシーンは1回も止めずに、2人向け、なるちゃん向け、崔君向けと3回通して撮って、感情が上がったところを使ったんです。セリフを噛もうが、映りが悪かろうが、演技のテクニックを度外視して、「とにかく気持ちだけでぶつかってくれ」と二人に言いました。演者と演者の感情のぶつかり合いを拾いたかったです。

柳井役の崔哲浩さんはいかがでしたか?
なるちゃんがポップな子なので、対比として崔君の存在が際立ったと思います。彼の持つアンダーグラウンド的なドロっとした粘質的な空気感がハマりましたし、面白かったです。崔君でよかったなと思いました。

楓のお母さん役の高島礼子さんはいかがでしたか?
目力がすごいんです。カメラが回った時に、目だけで表現ができるし、あんなに瞳に力がある女優さんってなかなかいないんじゃないかと思います。


楓の子供時代役の田中千空ちゃんはいかがでしたか?
彼女も礼子さんに近い目力があります。こっちが言ったことに機敏に反応してくれる器用さ、オーラ・華もありました。成長して倉野尾成美ちゃんになるという設定ですが、最初 オーディションで千空ちゃんを選んで、ルックス的にはイメージが違う、なるちゃんを選んでも、両方とも違和感なく楓だったので、ルックスではなく、役は本質で選ぶべきだと自分も勉強になりました。

丈さんが演じた床屋の橘高康介役に込めた想いはありますか?
実際僕も野球部でキャッチャーをやっていて、ピッチャーが親友だったんです。設定は、その時の自分の想いを重ね合わせました。


本作はゆうばり国際ファンタスティック映画祭と広島国際映画祭で上映されましたが、観客の感想は耳に入りましたか?
お話しする機会はなかったんですけれど、両映画祭とも一番後ろの席で観ました。ゆうばりでは5〜6本他の作品の上映にも行ったんですが、観客が食い入っていない時は、空気でわかるんですよ。でも『いちばん逢いたいひと』の時は、みんな食い入るように観ていたのと、拍手がとても熱かったです。

本作の見どころはどこだと思いますか?
多分皆さんは、もっとしみじみした、じんわり感動できるような医療映画をイメージされると思うんですが、一つのエンターテイメントの映画として楽しんでもらえたらなと思って作りました。テンポやリズム、展開を意識して作ったんです。普通フィックスで静かな画が多いタイプの映画ですが、意図的にカメラを動かしてズームも多用したし、躍動感のあるダイナミックな画作りを意識しました。

読者にメッセージをお願いします。
役者の感情の機微や表情やちょっとしたトーンは映画のスクリーンの方が、明確に伝わると思うんです。ぜひ映画館に足を運んでいただきたいです。風景もそうですし、カット割や展開が早いダイナミックな画作りも大きなスクリーンだからこそ映えると思います。


福山駅前シネマモードにて先行公開中、2月24日(金)よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

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作品紹介

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