アジア・フィルム・アワード3部門でのノミネート『エゴイスト』プレミア上映会に鈴木亮平、宮沢氷魚、松永大司監督らが登壇!

(C)2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
1月20日(金)

先日「アジア全域版アカデミー賞」と言われるアジア・フィルム・アワードにて、主演男優賞・助演男優賞・衣装デザイン賞の3部門でのノミネートが発表された映画『エゴイスト』。1月19日にテアトル新宿にてプレミア上映会が行われ、主演の鈴木亮平、共演の宮沢氷魚、阿川佐和子、ドリアン・ロロブリジーダ、監督の松永大司が登壇した。また最後には、アジア・フィルム・アワードノミネートを記念して、急遽テアトル新宿にて2/4(土)、2/5(日)に『エゴイスト』が先行上映することが発表された。

ステージに登壇した鈴木は「いろんな意味で美しい映画ができました。ドキュメンタリータッチなんですけど、本当にすべての場面、色も美しくて。僕たち二人が一緒にいる空間に、ずっと一緒にいたいなと思うような映画になっていると思います」とあいさつすると、宮沢も「この作品を撮ったのは一昨年の夏ごろでしたが、ようやく観てもらえるということで。今日の日を楽しみにしていました。とにかく美しくて、グッとくる作品なので、ひとりでも多くの人に観てもらいたい」と続けた。


個性豊かなキャスト陣が集まったこの日の舞台あいさつ。「だいぶアクが強い人が集まりましたね」と笑う松永監督だが、「今日は久しぶりにみんなと顔を合わせて、あらためていいチームで映画を作れたんだなと思いました。昨年の東京国際映画祭でお披露目した時にもいろんな方に観てもらいましたが、その後にアジア・フィルム・アワードの3部門でノミネートされることになったというのが本当にうれしくて。なぜ選ばれたのかというのも、映画を観ていただけたら分かると思います」と自負すると、会場からは、祝福の拍手が送られた。

そんな本作に鈴木が出演した決め手は何なのか。「とにかく原作が素晴らしくて。おこがましいですが、原作を書かれた高山さん、そして劇中の浩輔がちょっと自分に似ているなと思ったんです。作者の方と共通点があるということで、これはやるべきご縁じゃないかなと。それが決め手でした」と語る鈴木は、「書かれている小説に、自分を客観的に見ている自分の心情とか、なぜ自分がこういうことをするのかということが事細かに書かれているんですが、それが、心の声が使えない映画になった時にどういうものになるんだろうという興味・好奇心がありました」と付け加える。対する宮沢も「『エゴイスト』の話をいただいた時に台本と原作を読んで、なんて美しい物語なんだろうと思って。もし自分が関わることで、ひとりでも多くの人にこの作品が届くのであれば、絶対に出たい」とコメント。この日を迎え、「夢のような瞬間です」としみじみ付け加えた。

一方、龍太(宮沢)の母親役として出演した阿川は、「すてきな方だと思っていた」と語る松永監督たっての希望でオファーされたという。「わたしは演技の経験がものすごく少ないんですが、監督とプロデューサーからお話をいただいて、面談した時に監督がカッコよくて。プロデューサーもセンス良さそうなすてきな人だなと思って。わたしは一緒に仕事をするのは、この人と一緒に仕事をしたら面白そうだなということで決めていて。まだイエスとも言っていないのに、髪を伸ばした方がいいですかね、とかやる気満々でしたね」と笑いながら振り返った阿川。だが後々、阿川が監督について調べたら、『ハナレイ・ベイ』の監督だと気づいたという。「(同作主演の)吉田羊さんから厳しい監督だったと伺っていたので。ドキドキしながら現場に行ったんですが、実際には鮮度の高さを感じたというか。こうやってものを作っていくのか。こうやって演者の心を開いていくのかとか、演出のひとつひとつが面白くて。楽しく過ごしました」と笑顔で振り返った。

そして本作が映画初出演となるドリアンだが、実は原作者・高山真と交流があったという。「彼は2020年に亡くなっているんですけど、亡くなるまでの3年間は本当に濃密な時を過ごしました。『エゴイスト』の原作が出たのは、彼と会うずっと前なんですけど、その時からこの原作を読んでいて。すてきな作品だなとずっと思っていたんです。だからこの小説が映画化されるとご連絡をいただいて、絶対に出ますと申し上げました」と振り返ったドリアン。鈴木も「ドリアンさんとは長い付き合いになりましたね。原作者の高山さんはどのような人だったのかということをお伺いするような、ヒアリングの会を開いていただいた時に初めてお会いしたので。ここの場所に一緒に立てるのが光栄です」としみじみ。

劇中では恋人役を演じることになった鈴木について、「不思議なもので、現場にいるときは(鈴木)亮平さんという感じではなくて、そこに浩輔さんが常にいたんです。それは支度をしている時も、お昼休憩の時も常に、僕は中村龍太という人物でそこにいて。(鈴木は)浩輔さんとしている。だからその関係性というか、信頼関係ができていたので、もちろん亮平さんに助けていただいたところもたくさんあるんですけど、僕は浩輔さんに救われた、引っ張ってもらったという感覚の方が強いかもしれないですね」と語る宮沢。
鈴木も「松永さんの今回の映画の演出方法がけっこう特殊で。台本にないことをしゃべってもいいし、しゃべらなくてもいいし。けっこう自由というか、こういう気持ちでここに向かってくれれば、浩輔なりのやり方でいいと言われた」と振り返ると、「だからお互いがお互いを俳優として見ないというか。龍太は龍太だし、浩輔は浩輔として見ているという関係性が必要だったので。だから最近です。氷魚くんを氷魚くんとして見られるようになったのは」と振り返った。

この日のキャスト陣からは口々に松永監督の演出が特殊だったというコメントが飛び出したが、実際にキャスト陣の自然な表情を捉えるため、時にはキャストにサプライズで違うセリフを投げかけて、素の表情を引き出したり、待機時間中にそっとカメラを回したりしたこともあったという。松永監督も「ドリアンや阿川さんらも含め、自分であるということを持っている方たちを(役として)どうやったら僕たちが引き出せるか、ということを考えながら映画を撮っていたように思います」という。

そのひとつの例として宮沢は、歩道橋で二人が歩くシーンで、龍太から呼ばれた浩輔が、振り向きざまにふいに龍太からキスをされるというシーンでの演出について語り始めた。「あれも何回かテイクを重ねていて。毎回、『浩輔さん』と言っていたんですけど、4テイク目か5テイク目で、監督から『浩輔さんじゃなくて亮平さんと言って』と言われて。それで本番で『亮平さん』と言ったらすごく驚いた顔をしていて」という宮沢は、「やはり何回もテイクを重ねるとなれちゃうというか。それは監督が新鮮な反応を求めてということだったと思うんですけど、そういう指示を出してくれる監督があまりいないので、ビックリしましたね。でもそれもあって、それまでのテイクにはなかった新しい浩輔さんの表情が見られた」と述懐。

それを聞いて「でも後半になるとそういうことが多いんで。だんだん慣れてきましたけどね」と笑った鈴木は、「やはりサプライズが多いんですよね。普通に待ち時間にボーッとしていたら、なんだか静かだなと思っていたら、いつの間にかカメラで撮られていたりとか。後から聞くと、スタッフだけで(撮るぞという)合図を決めていたらしくて。面白い演出でしたね」とコメント。松永監督も「ドリアンや阿川さんらも含め、自分であるということを持っている方たちを(役として)どうやったら僕たちがカメラの前で引き出せるか、ということを考えながら映画を撮っていたように思います」とその意図について明かした。

そんな本作について宮沢が「この作品の中には、日常のささいなしあわせがたくさん詰まっていて。僕はこの作品を観たときに、心から温かいものを感じて。なんてしあわせな気持ちなんだろうと思いました。この作品を通してあらためて愛とは何か、愛とはエゴなのかと考えるきっかけになると思います。ぜひ一人でも多くの人に観てもらえたら」と語ると、鈴木も「本当に僕にとっても大切な作品です。できあがるまでにいろんなことがありました。この映画は、最初に『エゴイスト』というタイトルが出て、最後に『エゴイスト』というタイトルが出て終わります。その時に、最初に感じたエゴイストという言葉の印象と、最後に感じた印象が変わっていたとしたら、皆さんに何かしらの影響を与えられたのではないかなと思っています。もし何かを感じましたら、ぜひまわりの方に話してください。今はSNSがありますので、僕たちも見ています。『エゴイスト』だけに、僕たちも“エゴサーチ”をしますんで」と笑いながら付け加えた。


2月10日(金) 全国公開

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