クリステン・スチュワートがダイアナ元妃を演じアカデミー賞にノミネートを果たした『スペンサー ダイアナの決意』より、知られざる王室のしきたりが切り取られた本編映像が到着した。
1997年8月31日、ダイアナ元皇太子妃が交通事故で亡くなったというニュースは世界中に衝撃を与えた。スペンサー伯爵家の令嬢として誕生し、20歳でチャールズ皇太子と結婚すると瞬く間に人気者となったダイアナ。世界中で「ダイアナ・フィーバー」を巻き起こし、2人の息子を育て、死の直前まで人道支援活動に心を注いだ「愛の人」。36歳という短い生涯を駆け抜けた彼女の生き様は世界中の人々に希望と共感を与え今なお愛され続けている。

クリスマスを過ごすためにロイヤルファミリー全員が集まったサンドリンガムハウスに遅れて到着したダイアナ。するとロビーには新しい小姓・グレゴリーの姿が。体重を計る、という王室クリスマス伝統のしきたりをほかのファミリーと同様に遂行しようとするグレゴリーだが、ダイアナは見逃してほしいと頼む。「伝統は守らねばなりません」と静かな圧力をかけるグレゴリーの逆らい難い姿に、ダイアナは「分かった。もめ事は避けたい」と嫌々ながら体重計にのるのであった――。
■『スペンサー ダイアナの決意』本編映像
この“体重を量る”というクリスマスの伝統は驚くべきことに本当にある。1900年代初頭にエドワード7世が「クリスマスのゲストがどれだけ楽しんだかを体重増加で測りたい」と提案しスタートしたと言われており、実に100年以上も続いている歴史のあるしきたりとなっている。何年もの間摂食障害に苦しんでいたダイアナにとっては体重測定ほど苦しいものはなく、映画ではそんなダイアナを想像して伝統を拒否する姿が描かれている。
ダイアナにとっては苦しいシーンであるが、サンドリンガムハウス内の美術やディテールに目を向ければ、とてもわくわくできる本作。建物内のインテリアや、シーンの主役となる体重計も、重りを一つ一つ置いて計測していくアンティーク式。普段は目にすることができない小道具の数々にも注目したい映画だ。

そして印象的な存在感を放つグレゴリーを演じるのは、『ターナー、光に愛を求めて』、『英国王のスピーチ』、そして『ハリー・ポッター』シリーズのピーター・ペティグリュー役でおなじみ、さらに俳優として大きな功績を残したことを認められ、大英帝国勲章4等勲爵士(OBE)を受勲された名優ティモシー・スポール。英国王室から認められた俳優である彼は、王室で働くスタッフ役のオファーにとても興味を持ったようで、「映画のテーマ、脚本の質、セリフ、そしてグレゴリーのキャラクターにとても興味をそそられよ。グレゴリーは一見すると、とても厳格で大胆不敵、人と接するときも感じのいいタイプではない。だから怖いように感じるけれど、彼は決してダイアナの敵ではなく、王室に代表する群衆の精神を表す存在として描かれているんだ」とキャラクターを分析する。
そして共演したクリステン・スチュワートについては「現場でクリステンがドアから入ってくるのを見たとき、明らかに彼女はダイアナでした。第一印象もそうだったし、演技も見事だった。素晴らしい演技というのは、所作やアクセントももちろん大事だけど、演技自体が“どこからきているのか”ということが重要になってくる。彼女は動きも言葉もすべてが自然に出てくるほどにダイアナを心から理解していた。本当に素晴らしかったよ」と絶賛している。主役の名演を陰でさりげなく支える名優の存在も見逃せない作品となっている。
10月14日(金)、TOHOシネマズ 日比谷 ほか全国ロードショー