イタリア人監督が描く日本最西端『ヨナグニ~旅立ちの島~』監督来日特別イベントを開催!

4月28日(木)

日本最西端・与那国島の中学生たちの日常と消滅の危機に瀕する言語「どぅなんむぬい」をテーマにしたドキュメンタリー『ヨナグニ~旅立ちの島~』。5月7日(土)全国公開に先立ち、4月21日(木)午後、東京・イタリア文化会館にて映画『ヨナグニ~旅立ちの島~』特別上映会ならびに座談会、そして4月23日(金)には与那国島での凱旋上映会が開催、監督のアヌシュ・ハムゼヒアンとヴィットーリオ・モルタロッティがイタリアより来日した。

与那国島の中学校を舞台に学校生活や多感な十代の日々が映し出され、失われつつある島の言葉「どぅなん」や伝統文化がゆっくりと若い世代へと受け継がれる様子が描かれる本作。映画という枠組みを超え、美術作品や書籍など様々なメディアでどぅなんむぬい(与那国語)と島民の関係を描いた。イタリア文化会館では映画と同時期に与那国島を舞台に制作されたインスタレーション(空間美術)と書籍版の「L’Isola」の展示も開始した。また、彼らが日本を舞台に制作した映画は本作で三作目にあたる。知人の言語学者の紹介で与那国島と与那国語が消滅の危機に瀕していると知り、リサーチを開始した。


「失われる言語の現在」と題した上映後の座談会では監督両名に加え、同じく与那国島を舞台にした映画『ばちらぬん』の東盛あいか監督、さらに社会言語学者の松尾慎教授が登壇し、映画のバックグラウンドにある与那国語の継承や本作の意義について意見が交わされた。

制作背景についてアヌシュは「消滅の危機に瀕する言語や文化を伝えていきたいという想いから作品を制作した」と語った。松尾は「日本でもアイヌ語や八丈語をはじめ消滅の危機にに瀕している言語は幾つもあり、与那国語もその一つである」と述べた。与那国島出身である東盛も「与那国語を母語とするのは高齢者のみで、若い世代では話すことが難しい」と島の現状を訴えた。その上で「本作のような言語やコミュニティを記録した作品には消滅危機言語の状況を広く知ってもらう方法としても価値がある」と評価した。また、今後の展望についてヴィットーリオは「日本をテーマにした作品を今後も多く制作していきたい。コミュニティや歴史に焦点を当てて」と意気込みを語った。


当イベントに参加した観客からは「少数言語の置かれている状況がわかった」「与那国の中学生たちののびのびとした様子が自然に撮られているのが素晴らしい」と声が挙がった。上映イベント後、監督両名は4月23日(土)に開かれる凱旋上映会へ向けて、東京から与那国島へと旅立った。

(右からヴィットーリオ・モルタロッティ監督、アヌシュ・ハムゼヒアン監督、東盛あいか監督、松尾慎教授)

与那国島での上映会は舞台にもなった久部良中学校で開催され、地元の関係者、出演者などが参加した。本作は昨年よりヨーロッパ各地の映画祭で上映されたが、コロナの影響もあり地元の関係者に見せる機会をなかなか得られなかった。今回のイベントにより念願の与那国島上映を果たした。会場には本作の出演者も駆けつけ、感動の再会に暖かい空気に包まれた。


特集上映「国境の島にいきる」(『ヨナグニ~旅立ちの島~』『ばちらぬん』)は4月30日(土)より沖縄・桜坂劇場にて先行上映、5月7日(土)からは新宿・ケイズシネマほか全国拡大上映される。

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