第34回東京国際映画祭 Nippon Cinema Now 部門公式出品にて話題となった黒沢あすか×神尾楓珠主演、中村真夕監督最新長編映画『親密な他人』の公開を記念して、岩井俊二監督、園子温監督、瀬々敬久監督、内田樹、鈴木光司、佐伯日菜子、寺尾紗穂、渡辺真起子、武田砂鉄ほか各界著名人より、熱いコメントが続々到着。あわせて、コメントフライヤーが完成、青バージョンの特別ビジュアルが解禁された。
失った息子を求め続ける女は、近づいてきた青年の言葉をあえて信じる。だまし、だまされた果てに見えてくる驚愕の真実とは…. この関係は、愛か狂気か?

主演は、『六月の蛇』、『冷たい熱帯魚』はじめ数々の映画・ドラマにて鮮烈な印象を刻み続けるベテラン女優・黒沢あすか。対峙するのは、注目の最若手俳優・神尾楓珠。映画『彼女が好きなものは』『20歳のソウル』など主演作品が控える中、新たな側面を魅せる。失踪した息子役に、『許された子どもたち』で毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞に輝いた上村侑。そのまわりを、尚玄、佐野史郎、丘みつ子など実力派名優が固める。
■『親密な他人』予告編
監督は、ドラマとドキュメンタリーの境界を越え、常に斬新な映画を作り続ける中村真夕。劇映画『ハリヨの夏』で監督デビュー後、ドキュメンタリー映画『ナオトひとりっきり』『愛国者に気をつけろ!鈴木邦男』など独自の視線で現代社会の影を見つめ、国内外映画祭で高い評価を受ける監督が、本作で初の心理サスペンス映画に挑戦。

岩井俊二(映画監督)
彼女(黒沢あすか)によって表現される静謐なる狂気。中村監督がずっとこだわっていたのは間違いなくこの狂気だった。その執着、執念は、本当に美しい映像となってこの鬱々とした作品に悪魔的な彩りを加え、この映画の最大の見せ場ともなっているのではないだろうか。
寺尾紗穂(音楽家・文筆家)
救いのなさが、劇中に登場する剃刀のように冴えわたっているのに、一瞬はかない希望が提示される。それがどうしても美しく尊くて、映画を見終えて迷子になる。母親は怖い。
内田樹(神戸女学院大学名誉教授・凱風館館長)
子どものことをすべて知っていると思い込んで、それがたいてい当たっているからだ。でも、すべてを知っているわけではない。その『母親が決して認めない無知』に子どもは呑み込まれる。

園子温(映画監督)
女性である事は、こんなにも切なく、こんなにも悲しくて、なおかつ美しい。黒沢あすかさんの芝居は、ますます輝き中村監督の作る世界に乱反射してる。この映画は、今年最初の輝かしき傑作である。
武田砂鉄(ライター)
黙り込む二人。不気味に鳴り響く生活音 隙間風の正体がわかった時、思わず息を止めてしまった。
佐伯日菜子(女優)
秘密が明らかになるにつれて、私は内臓に剃刀の刃を当てられたような得体の知れない不安に襲われた。そこに新垣隆氏の緊張感ある音楽と多面性の象徴のような鏡が効果的に使われている。母親とは‥なんて怖いんだろう。
鈴木光司(作家)
親密な他人……、映画を見終わって、もう一度タイトルを読めば、様々なシーンが脈絡を持って脳裏に蘇り、あなたの背筋に悪寒が走る。

瀬々敬久(映画監督)
壁の白さが殊更強調される密室映画、思い出したのは初期若松プロの作品群だ。たとえば『壁の中の秘事』や『胎児が密猟する時』。あの時代で描かれたのが若者たちの反乱だったとすれば、ここで描かれるのは母親の反乱だろうか。そして時折、出てくる外でのカット、どこにでもある風景。敢えて選びそうにない絵作りしにくい場所での撮影。新しい風景論映画。変化の時代に現れてくる映画なのか。そんなゾワゾワとした感覚がいつまでも残ってくる。
渡辺真起子(女優)
どこからこの女の人生は、この男の人生は、ずれてしまったのだろう。ずれたままこの2人はお互いを探りあい探りあり、探り合いながら絶対になっていく。私はこの2二人を感じながらとても悲しいなと思った。2人が幸せになっていったらいいのにって思いながらみていたけれど、そうならなかった。そうならないのが、たった今の世界だと思う。
樋口尚文(映画評論家、映画監督)
これは縦に見た剃刀のような映画である。まず見始めると、特殊詐欺や格差と分断、コロナ禍と社会的ヒステリーなど、さまざまな「社会派」的モチーフが見え隠れするので、これはそういった方面の何かを目指しているのかと予測する。16年前に劇映画から出発した中村真夕監督が果敢に発表してきた近年のドキュメンタリー映画の秀作は、まさに「社会派」的な観点で犀利な切れ味だが、明快率直で落ち着いて見られるものだった。それが横に見た剃刀だとするならば、本作はそういう見えるテーマに収束することなく、物騒な何ものかとしてこちらに迫ってくる、見えない縦の剃刀だ。そんな映画の不穏さは、『愛について、東京』『冷たい熱帯魚』と間欠泉のように危うい演技を噴出させてきた黒沢あすか扮するヒロインの素顔が露わになるに連れ、充満してくる。その「社会派」的なおさまりなど脱ぎ捨てて、きわどい何ものかに変容してゆくヒロイン=映画のスリリングさに、あなたも巻き込まれ、ぞんぶんに翻弄されるがよい。


さらに、3月5日(土)初日舞台挨拶 と、公開を記念して上映期間中、上映後トークショーの連日開催が決定!上映後に中村監督と共に、特別ゲスト、キャスト、スタッフが登場して、映画を掘り下げる。
★公開記念 上映後トークショー 登壇ゲスト★
※連日、中村真夕(監督)との対談トークとなります。
6(日)12:40 黒沢あすか
8(火) 18:50 内田樹(神戸女学院大学名誉教授・凱風館館長)
9(水) 18:50 佐伯日菜子(女優)
10(木)18:50 新垣隆(音楽)
12(土)落合賢(映画監督)
13(日)黒沢あすか(主演)
16(水)寺脇研(元官僚・映画評論家)
17(木)新垣隆(音楽)
18(金)清水崇(映画監督)
19(土)武田砂鉄(ライター)
20(日)黒沢あすか(主演)
24(木)瀬々敬久(映画監督)
27(日)黒沢あすか(主演)
3月5日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開