ラオスの森の民がわたしたちに教えてくれること_ムラブリ族を追ったドキュメンタリー『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』公開日決定!

(C)幻視社
1月13日(木)

ノマド生活を送る少数民族の撮影に世界初成功した、映像人類学のドキュメンタリー映画『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』の公開日が3月19日(土)に決定、ポスタービジュアルと金子遊監督のコメントが到着した。

バナナの葉と竹で寝屋をつくって野営し、平地民から姿を見られずに森のなかを遊動するムラブリ族の生活。タイ人は彼らを「黄色い葉の精霊」と呼んだ。本作は、6ヶ国語を自由に話し、文字のないムラブリ語の語彙を収集する、言語学者・伊藤雄馬とともに足かけ2年、ムラブリ族を追ったドキュメンタリー。伊藤はラオスで狩猟採集を続けるグループへの接触を試み、カメラは世界で初めて、ムラブリ族の謎めいた生活を撮影することに成功。ムラブリ族は言語学的に3種に分けられることが判明し、お互い伝聞でしか聞いたことのないタイの別のムラブリ族同士が初めて会う機会を創出する。また、今は村に住んでいるタイのムラブリ族の1人に、以前の森の生活を再現してもらうなど、消滅の危機にある貴重な姿をカメラに収めた。

インドシナ半島の密林におけるサステナブルで、政府からも自由なアナーキーな生き方を見つめることで、文明社会で暮らす私たちにも、「真に重要なことは何か」が見えてくる。


<監督・撮影・編集 金子遊コメント>
タイ、ラオス、ミャンマーにかけてのゾミアと呼ばれる山地に住むムラブリ族は、半裸で森を移動する遊動民で、長らく狩猟採集生活をしてきました。この映画はまず、タイ側で焼畑農業をおこなうモン族にジャングルを焼き払われた挙げ句、ムラブリ族が日雇い労働者として彼らの農業を手助けしている実体を描きます。そこには、現代の人類学やエコ・クリティシズムに共通する視点があります。無文字社会に生きてきたムラブリですが、即興的な歌唱法やフォークロアをもっています。

ムラブリ語を流暢に話し、インドシナ半島の各地に散らばったムラブリの言葉を比較研究する日本の言語学者・伊藤雄馬氏と出会ったことから、このドキュメンタリー企画はスタートしました。映画の後半では、伊藤氏とわたしのカメラはラオスの森の奥深くに踏みこみ、研究されることも撮影されることもなかった現代のムラブリの遊動民生活を記録しています。そこから見えてくるのは、人類にとって火を使うこと、食べること、住むこと、夫婦になること、子どもを持つこと、家庭をつくることは何かという、わたしたちの文明を逆照射し、内省を迫られる根源的な課題でした。

3月19日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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作品紹介

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