2018年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産に登録された「黒島の集落」を舞台に、女子中学生と国語教師の淡い恋のラブストーリー『リッちゃん、健ちゃんの夏。』より、本作で映画初主演の武イリヤのオフィシャルインタビューが届いた。
あいち女性国際映画祭ほか3つの映画祭にてグランプリを受賞し、文化庁メディア芸術祭2020 審査員推薦作品に選ばれた本作の劇場公開が遂に決定。同じ大森歩監督の短編映画『春』(主演:古川琴音)との併映で、10月1日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか、名古屋の名演小劇場、アップリンク京都ほかにて全国順次公開される。

中学生の主人公・リッちゃんを演じるのは、現在カネボウ「KATE」などのモデルを務めており、撮影当時は大学1年だったという武イリヤ。国語教師の健ちゃん役でこちらも映画初主演作となったのは、『ナポレオンと私』の笈川健太。また、黒島の美しい実景を優しく彩る、寺尾紗穂の主題歌『あの日』も必聴である。

演じた中学2年生のリッちゃんをどういう子だと捉えましたか?
年相応の素直さもありつつ、ちょっとませていて、周りより精神年齢が高いと思いました。自分が持っていないものに惹かれるタイプなのかなと思いました。
リッちゃんを演じる上で何を大切にしましたか?
中学生の頃の純粋で真っ直ぐな気持ちを思い出して向き合うことを大切にしました。中学生当時に書いていた日記を見つけ、中学生の頃の思い出や悩んでいたことを辿ることから役作りを始めました。日記を読んでみると、中学2、3年は一番安定していなかった時だったので、闇ノートでした。(笑)思春期真っ只中で、なんて子供だったのだろうと少し恥ずかしくもなりました(笑)

演じたリッちゃんも、大学生の武さんからしたら子供だと思いましたか?
はい。リッちゃんも恋愛に関しては、思春期特有の、誰しもが通ることに悩んでいます。先生を好きになっちゃって、周りにも相談できなくて辛いだろうと思いました。
監督が撮影前から主題歌が決まっていたとおっしゃっていましたが、主題歌が事前に決まっていたことで世界観などを撮影前に掴むことができたのでしょうか?
主題歌を聞いて撮影に臨むことができたのは演じる上でとても心強く、気持ちを作る上での大切な材料になっていました。主題歌を聞くと佐世保や黒島もより神秘的に感じることができました。島に行くフェリーで聞くと、その世界観にどっぷり浸ってしまって。帰りも同じように聞いて、少し切ない気持ちになっていました。

佐世保や黒島はいかがでしたか?
佐世保は軍の方もいて、異国交流が盛んで、日本ではあるけれど多文化な街並みがとても素敵でした。黒島は、同じ日本なのに日本じゃないような雰囲気で、とても新鮮でワクワクしたことを覚えています。撮影の日は、たまたま霧が濃く、教会が霧に囲まれているのがより一層神秘的でした。
ラストの表情が難しかったかと思いますが、監督からはどんな演出があったんですか?
大森監督は、演出をつけてくださると言うより、私が思うようなリッちゃんをやって、違うと思ったら違うと言ってくださる方でした。最終的には監督と同じ見解を持つことができたので、悩んだ甲斐がありました。ちゃんとリッちゃんに向き合うことができたのだと思います。
健ちゃん役の笈川健太さん、お母さん役の大國千緒奈さんはご一緒していかがでしたか?
笈川さんは先生の役だったので、役以外の場所でもあえて役と同じ距離感で接するようにしていたのですが、普通に話してみると、とても明るく、気さくな方でした。役に入った時の普段とのギャップに圧倒され、その瞬間の笈川さんがとても印象的でした。大國さんは、劇中では鬼のようなお母さんなのですが、実際は真逆で聖母のような優しい方でした。大國さんがオフの日に、私のロケが終わるのを料理を作って待って下さっていたことがあり、本当のお母さんのようでとても嬉しかったです。

本作の見どころを教えてください。
学生の先生との恋愛というのは、誰もが一度は憧れるシチュエーションだと思うので、絶妙な距離感のある生徒と先生がどうなるかというドキドキ感と、リッちゃんのひたむきな想いを可愛らしいなと思って観て頂ければと思います。
読者の方にメッセージをお願いします。
リッちゃん健ちゃんの切ない関係性とそれを象徴する音楽を是非劇場で感じていただければと思います。また風や海など自然の音にも耳を澄ますことで、まるで本当に島にいるような感覚を楽しんでもらえたら嬉しいです。ぜひ劇場でご覧下さい。
■『リッちゃん、健ちゃんの夏。』特報
10月1日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開