『ベイビーわるきゅーれ』映画初主演・伊澤彩織オフィシャルインタビュー解禁!

(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会
7月26日(月)

7月30日(金)より公開となる『ベイビーわるきゅーれ』より、本作で映画初主演を飾るスタントパフォーマーの伊澤彩織のオフィシャルインタビューが届いた。

2016年、20歳で発表した『ベー。』で「残酷学生映画祭2016」のグランプリを受賞した際に、白石晃士監督(『不能犯』)に「才能に嫉妬する」と言わしめ、『ハングマンズ・ノット』では「カナザワ映画祭2017」で期待の新人監督賞と出演俳優賞のダブル受賞、続く『ぱん。』では「MOOSICLAB」で短編部門グランプリ、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」で短編コンペティション部門グランプリを受賞、さらに海外映画祭初参加で挑んだ「プチョン国際ファンタスティック映画祭」では審査員特別賞受賞を果たすなど、大学在学中に圧倒的な暴力描写で自主映画界を席巻した阪元裕吾監督の最新作が完成!女性とて侮れない、本格的なアクションシーンと、今の時代ならではの、若い世代の考え方や価値観が散りばめられた物語の、新しい映画が誕生した。


Q. 本作出演のきっかけをお教えください。
同じ阪元監督の映画『ある用務員』で、私とあかりちゃんはシホとリカという女子高生コンビの殺し屋を演じました。このコンビが大人気で、私たちが主人公の映画を撮ろうとなりました。どんどん話が進んでいって、『ある用務員』が映画館で上映される頃には、実はもうすでに『ベイビーわるきゅーれ』の撮影は終わっていたんです。  
『ある用務員』を観た方の感想を見ていると、「シホとリカが主人公の映画が見たい」という声がたくさんあり、「実はもう撮りました〜!」って早く話したくてうずうずしてました。二人の可愛い絵を描いてくださる方もいて、コンビで好きになってくれるのが嬉しかったです。

Q.伊澤さんは、役者業を本業にしている方ではなく、メインはスタントパフォーマーとしてアクションをされていますが、映画の主演と聞いてどう思いましたか?
即座に「やりたいです」と監督に伝えたものの、「いきなり主役を張れるのかしら、おこがましくないかな」と不安でした。アクション部で芝居することがあっても台詞は大体一言で終わることが多いので、二つ以上句点があると覚えられないし...。
衣装合わせの時に久しぶりにあかりちゃんに会って、「いつもどうやって台詞を覚えてるの?」と聞いたら、「言葉を覚えるのではなく、その役の感情を考えると自然と台詞を覚えられるようになります」とアドバイスをくれました。その日から言葉を頭に叩き込むのではなく、脚本にある「・・・」の間の意味や、台詞では書かれていない心情などを考えるようにしました。

Q.本作は、社会不適合者な“元女子高生”殺し屋コンビが社会に馴染もうと頑張る異色の青春映画ですが、脚本を読んでどう思われましたか?
アクション映画で殺し屋が出てくると、暗い過去や、壮絶な物語があることが多いですが、私たちが演じたちさととまひろはごくごく普通の人間。小さな時から訓練されて何もかもできるわけでもなく、両親が殺されて殺し屋になるしか生きる道がなかったわけでもない。今まで生きてきた流れで手に入れた仕事や人間関係があって、その日の気分で動いて、愚痴や弱音がすぐ出てきて、自分の刺激になるものが突然現れないか待ってるんです。
身に覚えがあるような場面がたくさんあるから、親しみやすいアクション映画になると思いました。だらだらした日常とのギャップで、アクションシーンが際立つことも脚本の段階で想像できました。

Q.アクション監督の園村健介さんにしか思いつかない唯一無二のアクションだったとのことですが、具体的にどのあたりが唯一無二な部分ですか?
園村さんの動き方って、そうそう真似できるものではないんです。この作品よりも前に、園村さんにジャブだけを2時間かけて教えてもらったことがあります。筋肉や骨の構造や力学から意識してパンチを打つので、自分の体の内側を意識できるまでに非常に時間がかかるんです。

ジャブの次は、ストレートパンチで1時間、フックに1時間、ボディパンチに1時間かけて練習して、その日の練習会が終了しました。パンチ4種類で5時間なんて、びっくりですよね。でも園村さんのやり方だったら、ずっと集中して体と向き合っていられるんです。園村さんが生み出したメゾットを頭で考えずに打てるようにならないと、アクションの段階に進めない。運動量の多さではなく、立ち回りの精度や技術が細かいから非常に難しいんです。

園村さんが監督した映画『HYDRA』ではスタントの先輩方が出役でアクションをしてるのですが、スタントマンの川本直弘さんと木部哲さんの動きが尋常ではないんです。映画館で見た時、心臓を鷲掴みにされて、息ができなくて、血が沸騰していました。自分には到底届かない高次元の場所に先輩方がいると感じ、「いつか、私も誰かの血を激らせるようなファイトを演じたい」と目標にしていました。今回、その目標が叶えば嬉しいな。

Q.冒頭のコンビニのシーンはいかがでしたか?
撮影初日、一発目の撮影が店長とのシーンだったんですが、すごく緊張していました。いざ現場に行ったら、セリフが飛んじゃった。焦りっぱなしの芝居シーンが全部撮り終わって、「次アクションシーン行きます」ってなった時、嬉しすぎて、「やった、アクションシーンだあ〜」って開放感で溢れてました。
 よくお世話になっているスタントの先輩方と、『るろうに剣心』最終章の撮影で一緒にたくさん練習した成田瑛基さんが店員を演じてくれたので、安心してのびのびアクションすることができました。コンビニ店員のお芝居も最高なので、注目して見て欲しいです。 

Q.三元雅芸さんとのアクションシーンは演じていかがでしたか?
史上最高に難しい立ち回りでしたが、あのシーンに関われたことが本当に誇りです。
三元さんとのアクションシーンを撮影する1週間前にリハがあって、三元さんがミットを持って、私にグローブをつける様に言ったんです。三元さん、私のパンチを受けながらずっとにこにこ笑ってるんですよ。内心すごく悔しくて、「煽られた!」と思った。2ヶ月前から園村さんに稽古をつけてもらって、自分の中ではパンチが少し変わってきていたところだったんです。それからの撮影までの1週間で笑われないパンチを習得するのはおそらく不可能で、普通にこのまま戦っても負ける。三元さんと同じリングの中に立ってられるか不安でした。でも、立つしかない。園村さんが作ってくれたVコンを何度も見て、自分の間の埋め方や攻め方を考え直して本番に挑みました。

撮影当日は、自分の中で「映画『HYDRA』のファイトを越えられるか」というのをひとつ目印にしていたんです。アクションを全部撮り終えて、「やっぱり、越えれませんでした」と三元さんに伝えたら、三元さんが「いや、越えたよ」って言ってくれた。なんだか、今までスタントやアクションやってて良かったなあって思うくらい報われました。

Q.挿入歌を歌った感想はいかがですか?
「挿入歌、歌ってみない?レコーディングは1週間後」ってプロデューサーさんから連絡が来た時は、もう危機感と焦りでいっぱいでした。歌うのは好きだけど、私はすごく音痴で、カラオケも嫌いな人間だったんです。人生の一大事なので、電話を切った瞬間にボイトレを予約して。10年ぶりにカラオケで歌って、毎日録音を繰り返しました。

正直、音痴すぎたらあかりちゃんに歌ってもらおうと思っていたので、その判断をしてもらうために、音楽プロデューサーの松原さんに会いに行ったんです。私の歌声を聞いた松原さんが「音程がずれるとかの問題は全く気にしなくて大丈夫。それよりも歌うときの声質や感情は変えれないから、お芝居だと思って、気持ちを大切にして歌ってみて。歌が上手い人はお芝居も上手い、お芝居が上手い人は歌も上手いと言われているのは、そういう理由なんだよ」と教えてくれました。

あかりちゃんの完璧な歌声とDaichiさんのヒューマンビートボックス、なんて贅沢なんだろうと思いながら歌いました。こんなに可愛くて、弾けた曲を歌ったなんていまだに自分でも信じられないし、驚かれます。スタントの先輩には「自分の映画の曲を歌うの、ジャッキー・チェンみたいで良いじゃない」って言ってもらえました。テンション上げたい時に一緒に口ずさんでもらえたら嬉しいです。

Q.完成した作品を見ていかがでしたか?
めちゃくちゃ笑いましたよ。心地の良い会話劇と当然のように始まるファイトが、両極端な立場にあって、どちらも引き立って見えました。
 みんな怖い言葉を並べてるのに、どこか可愛らしい。監督は人の情けない所を魅力的に描くのが上手いなと思いました。物語の中でアクションが浮かないのも、強い女性が男性を無双するのではなく、普通の女の子が無理矢理戦っていることをコンセプトに園村さんが立ち回りを作ってくれたからだと思います。

Q.読者の方にメッセージをお願いします。
「なんだか上手くできないなあ」って思った時は、まひろみたいに「だって無理なんだもん」って声に出してみてほしい。
恰好悪いと恰好良いの両方を楽しめるジェットコースターみたいな映画になったと思います。共感できる部分を見つけたら是非教えて欲しいです。パンフレットにもサプライズあり!それでは劇場で、お会いしましょう!


7月30日(金)テアトル新宿ほか全国順次公開

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作品紹介

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