『映画 太陽の子』7月17日開催オンライントークイベント、オフィシャルレポート。赤ペン瀧川プレゼンツ!2分でわかる『映画 太陽の子』特別動画も!

(C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ  
7月21日(水)

主演・柳楽優弥、有村架純、三浦春馬の豪華共演で、”日本の原爆研究”を背景に、時代に翻弄されながらも全力で駆け抜けた若者たちの、等身大の姿を描いた青春グラフィティ『映画 太陽の子』が、7月10日(土)&17日(土)に上智大学英語学科主催のオンライントークイベントを開催。10日(土)は黒崎博監督をゲストに迎え、廣田秀孝氏(歴史学者/上智大学英語学科准教授)と対談し、映画における監督の視点、作品の歴史的背景についてなどを中心にトーク。17日(土)はL.A.を拠点に活躍する本作プロデューサー・森コウ氏をゲストに迎え、プロデューサーから見た映画業界の現状や未来に及ぶまで、幅広いトークが繰り広げられた。

★7月10日(土)のレポートはこちら

★7月17日(土)
森コウ(プロデューサー)、ジョン・ウィリアムズ(映画監督/上智大学英語学科教授)※敬称略

森は、東京出身、ロサンゼルス在住の映画プロデューサー。アメリカ国内外での映画製作および日本のアニメ作品の北米配給を手がけるロサンゼルスのELEVEN ARTS STUDIOSのCEOとして活躍している。トークイベントの冒頭、L.A.で映画プロデューサーになる為にプロデューサークラス、セールスクラスなど様々な勉強をスタートしたことや、一番最初に手掛けた作品がアメリカの大手映画会社ライオンズゲートに売れたこと、2001年、すずきじゅんいち監督と出会い、監督がアメリカで映画を撮りたがっていて、自身も次のステップへと移るきっかけを探していたタイミングだったため一緒に組んだことJホラー”がジャンルとして確立し始めていた時期にホラー作品の企画に携わるするなど、キャリアを振り返り、多彩な活躍ぶりの一端が明らかになった。

プロデューサーの仕事について、と、広く問われると、「一口に言っても、作品の中でどういう役割を担っているかで違いがあるという」という。プロデューサー(Producer)、コ・プロデューサー(Co Producer)、エグゼクティブプロデューサー(Executive producer)、コ・エグゼクティブプロデューサー(Co executive producer)、コ・アソシエイトプロデューサー(Co associate producer)など様々な肩書が確かにあるが、「言いたいのは、基本的にプロデューサーは、ゼロから— ストーリーや、原作本、IP、リメイク権、アニメーションの実写化権などを手に入れる― 力が必要。すべてを含んだパッケージを手に入れる必要で、お金のめどがつけば映画が撮れて、映画祭のマーケットなどにも出せる」と話した。ジョンから、企画によっては時間がかかることもあり『ラストサムライ』は25年かかったと聞いたことがあるとコメント、森も「細かくは覚えていないが、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙 -サイレンス-』は30年近くかかったはず」と言い、映画制作の過程がいかにハードなものであるかが想像できる。


―『映画 太陽の子』との出会いについて

続いて、本作関わった経緯について話題が映ると、森は「NHKのプロデューサー浜野(高宏)さんが、L.A.を拠点にしている自分に声をかけてくれた」ことがきっかけだったという。海外との共同制作を元々絶対条件で考えていたことと、世界へ問いかけるべきテーマであることから、森へとつながっていった。脚本を読んだ森は、「とても面白くてとてもチャレンジグだが、デリケートな要素がたくさんあるので、日本でプロデュースするのは難しい」と感じたと率直な想いを吐露、その後、L.A.で黒崎監督と会う機会があり、自分が気づいたことを伝えて、それを受けて黒崎監督も脚本に手を加えながら、徐々に動き出していった。「黒崎さんと、“戦争映画は作りたくない”、“政治的なこととは切り離して”、という話をした。若いキャラクター、そして当時の彼らの生きた時間のストーリーにフォーカスする。普遍的で、有機的、本物の、彼らの生活や未来についての話をしている。そしてもう一つ、科学について描かれている面もある。」と、様々なディスカッションを経たことも垣間見えた。

―変化し続ける映画業界、日本の映画産業の行く末について

プロデューサーとして、リドリー・スコットのスコットフリー、20th Century Foxと組んだ、2018年度のサンダンス映画祭正式出品作品『ロード・オブ・カオス』(監督:ジョナス・アカーランド、出演:ロリー・カルキン/公開中)、2017年度トロント国際映画祭ミッドナイト部門の上映作として選出された『ダウンレンジ』(監督:北村龍平/18年公開)、カナダのファンタジア国際映画祭にて最優秀作品賞・最優秀主演男優賞同時受賞の『太秦ライムライト』(監督:落合賢 福本清三主演/14年公開)のほか、『マンフロムリノ』(14)で米国インデペンデント映画最高峰のアワードでアカデミー賞に並び権威のある2015年度インディペンデント・スピリット賞にプロデューサーとして日本人初ノミネート。スピルバーグやJ・J・エイブラムスもメンバーであるProducers Guild of Americaに所属。監督・園子温、主演・ニコラス・ケイジで製作された最新作『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』(21)は2021年度サンダンス映画祭のプレミア部門の上映作に選ばれ、今年最も注目すべき作品のひとつとして取り上げられるなど、アメリカの映画業界で躍進する森。

そこに身を置く中で、日々のニュースでも聞こえてくるような変化を如実に感じていると言い、「数年前から、日本人やアジア系の俳優が雇われ、その人種の役柄を演じるようになった。また、キャスティングをする際に、(例えば)ゲイの役柄を演じるのは誰(ゲイであるべきか否か)なのか?など、話し合うべきことは多く、考えていかないといけない」と話す。

日本の映画産業の展望については、「海外、とりわけ西洋はとても難しいと思う。中国や香港、台湾などのアジア圏ではポピュラーな部分もあるが、世界に向けては、例えば、是枝監督の『万引き家族』にように、レベルの高い受賞作品は別かもしれないが、他は難しいと思う」
という。映画制作のためにはスキルが必要で、撮るにも、脚本を書くにも、演じるにも学ばなくていけない。米国では、小学校からミュージカルを演じるなど、エンターテイメントへのリスペクトを持ち理解を深めている、というが、米国や(同じアジア圏では)韓国と違い、映画作品やクリエーターへのリスペクトが日本は足りないこともあるのでは、と感じているという。

一方で、プラットフォームとして広がり続ける動画配信サービスについては、「もっと国際的になる。俳優や監督にとっても、機会になり、日本のフィルムメーカーたちがもっとピックアップされるといいと思う」と、展望も話した。

“赤ペン瀧川プレゼンツ!2分でわかる『映画 太陽の子』特別動画”も公開!
映画プレゼンターとして知られる赤ペン瀧川による特別動画も公開。泣」と、本作に対する溢れんばかりの思いとともに3つの注目ポイントーその①【構想10年・情熱の結晶~監督が広島で見つけたある日記】、その②【全俳優の魂が響き合う!名優達が巻き起こす化学反応】、その③【今だからこそ見て欲しい!この夏を胸に刻むお勧め映画】―を熱弁。かつて日本に存在していた“原爆研究”を背景にした本作だけに、「壁ドン顎クイ肩ズンは一切ありません!」と軽快に飛ばしつつ、本作をわかりやすく解説した動画は必見!

赤ペン瀧川プレゼンツ!2分でわかる『映画 太陽の子』

8月6日(金)、未来へ

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