第57回台湾アカデミー賞(金馬奨)で最多5部門(作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、視覚効果賞)を受賞したチェン・ユーシュン監督最新作『1秒先の彼女』。
公開に先駆け、6月10日(木)、ユーロライブ(東京都渋谷区)にて試写会を開催し、上映後には、フォロワー47万人を誇る映画感想TikTokerのしんのすけさんと、東大卒YouTuberとして人気を博し、映画紹介YOUTUBEチャンネル「もっちゃんねる」を配信するもっちゃんさんが登壇し、トークイベントを実施。上映後の余韻が冷めやらぬなか、大人気インフルエンサーであるお二人の感想からトークはスタート。『アバウト・タイム』や『ハングオーバー!』など数々の名作のタイトルを引き合いにしながら魅力を語ると、会場からは笑いやどよめきが上がって大いに盛り上がった。
もっちゃん:この映画って、“探しもの”の話だなと思ったんです。冒頭、主人公のシャオチーが一日を失くしたところから始まりますが、彼女は運命の出会いを探していたり、いわゆる自分探しもしている。そしてグアタイも”タイミング“を探していたりと、それぞれ探しているものがあって、見つかるまでに長い時間がかかっていますよね。この映画のメッセージとして、「時間がかかっても自分のペースで大丈夫」と肯定してくれていて、恋愛映画なんだけど、恋愛映画にとどまらないところがありますね。構成も素晴らしくて、予告編を見てイメージしていたのとは全然違いました。実は昨日2回目を見たのですが、1回目はフィクショナルな飛躍とか、キャラクターがいいなと思いながら見ていたんですが、2回目では前半にすごくたくさんの伏線があるって分かったんですよ。”気づき“を拾っていける楽しみがあるので、皆さんにも、ぜひ2回見ていただきたいですね。
しんのすけ:僕が最初に思ったのは、「こんな映画初めて見た」でした。映画をたくさん見ている映画好き、映画ファンにとって「こんなの初めて」って感覚は失われていきますよね。この映画はラブストーリーでありながら、冒頭は「私のバレンタインデーはどこにいった?」というミステリー要素で始まります。“ジャンルレス”という言葉が最近のヒットワードというか、キラーワードになっている気がするんですけど、ここまでジャンルレスというか、クロスオーバーするようにジャンルをとびこえる映画は久々に見た気がします。途中から大きく視点が変わり、最後にはジャンルがミックスされて、まったく見たことないところに連れていってくれるのが心に残ります。
もっちゃん:“時間にまつわる映画”くくりでいうと『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』(13)みたいな、時間を使ったSFっぽい要素もありましたよね。
しんのすけ:僕は最初、バレンタインの一日を失くしたという設定で、朝起きたら一日失くしてた『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(09)じゃないかと思ったんです(笑)。あの映画みたいに消えた一日を探していく映画だと思ってしまった僕は、この映画の罠にかかったんです。「ああ、こういう映画なんだと思って見ていけばいいんだな」と思っていたら、どんどん未知の世界に連れて行かれてしまいました。
もっちゃん:『君の名は。』(16)的なすれ違いの要素もありますよね。
しんのすけ:主人公の女性パートは『ハングオーバー!』的で、男性パートだとラブストーリー的、と、どちらかの目線によってジャンルが変わる。ミステリー要素とラブストーリー的要素がクロスしていけばいくほど、まったくの未到達ジャンルに突き進んで、ジャンルレスになるのかな、と。
もっちゃん:最後に一つだけいいですか? エンドロールで、写真を撮られる時はいつも目を瞑ってしまうシャオチーとグアタイ、二人の写真が出てくるんですけど、私はそれを見て涙がこぼれたんです。彼ららしくやっていってほしいなと思います。
しんのすけ:この映画って、手紙がすごく出てきますよね。手紙は感情を記録できる、触ることができる記録装置なんですね。まさにこの映画も、映像、写真、手紙と、いろんな記録装置を使って感情を保存していくんだけど、それが最後にほどけていき、あぁそこにつながるんだね・・・・・・と。映画の中で、ある“仕掛け”があるんですが、“時間動かし映画”フェチとしては最高でした!
6/25(金) 新宿ピカデリーほか全国公開
しんのすけ(映画感想TikToker)✕もっちゃん(YouTuber)が登場!『1秒先の彼女』トークイベント開催!
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6月11日(金)