原作者・水城せとな、行定勲監督が魅力を解析『窮鼠はチーズの夢を見る』夏休み限定イベント実施!

(C)水城せとな・小学館/映画「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会
8月28日(金)

水城せとなの傑作コミック「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」を映画化した忘れられない恋の物語-。TOHOシネマズ 日比谷ほかにて9月11日から公開される映画『窮鼠はチーズの夢を見る』の夏休み限定イベントの第四夜が27日、東京のスペースFS汐留で行われ、原作者である水城せとな、監督の行定勲が参加した。

はじめに、原作コミックを読んだ感想を聞かれた監督は「いやあ、困ったなという。基本的に漫画を映画化することに未だに懐疑的なところがあって、やはり確立されたものを映画化するのは容易じゃないし、漫画という、すべてが1人の作家から生みだされるものが、映画という全く違うものになるという違和感を払拭しなければならないというのは非常にプレッシャーだった」と正直な胸の内を語り、「しかも原作が素晴らしい名言だらけで、洪水に飲み込まれるような圧を感じた。これをどう描くべきかというのを考え、観客が能動的になるように演出、脚本作りをするのに2年かかった。それがもっとも困難であり、恋愛ってこんなに深いものなんだなと思わされた」と原作を称え、映画化にあたっての苦労を明かした。

一方、映画化の話を受けたときの感想を聞かれた水城は、「わたしが普段漫画を描くときは、頭で考えるのではなくて、映像のようにその人たちがそこにいて、それをわたしが紙に描き落としていくというようなやり方でやっているので、最初は映画を観ているようなものなんですよね」と作品作りの工程を踏まえ、「昨今ありがたいことに映像化のお話をいただくことがありますが、なるべくわたしが見ていたものに近い空気感の企画だけを選ぶようにしていて。今回の「窮鼠はチーズの夢を見る」は、フランス映画のような、ああ言えばこう言うような強い言葉の応酬という映像のイメージだったんですが、行定監督からいただいた最初の企画書と仮のシナリオにはちゃんと共通する空気感がそこにあったので、これは動かしてもらっていいんじゃないかと思い、進めていただいて大丈夫です、とお返事をしました」と原作のイメージと映画化への運びについて語った。

さらに、実際に大倉、成田が演じた恭一と今ヶ瀬というキャラクターについての感想を尋ねられると、水城は、「初号試写の際に、わたしの前に成田さんが座ってらっしゃったんですが、上映中に成田さんの頭がぐいんぐいんとあっちにこっちに動くんですよ。どうしたのかなと思って後で尋ねたら、恥ずかしくってもぞもぞしてたんですって。他の作品で成田さんのもっと濃厚なラブシーンはいっぱい観ているし、そういうのは慣れていて冷静に観られるものなのかなと思っていたので、意外というかすごく可愛いなと思いました。映画の中の今ヶ瀬も可愛いですが、素の成田さんも可愛すぎる!」と知られざるエピソードを明かした。
そのうえで、「漫画の今ヶ瀬は、自分を守ろうと防御の意識が高くって強がっている部分が多いですが、映画で成田さんが演じる今ヶ瀬は、最初からもうフラれたら死んじゃうくらいの空気を出していて、子犬感というかとても無防備なんですよね。もしかしたら、異性愛者である恭一に対してどう自分が入り込むかと考えたときに、可愛らしさを出すということが映画の中の今ヶ瀬の戦略だったのかなと想像しました」と語った。
それに対し監督も「原作を読んだりして、彼なりのアプローチがあったはず」としながら、「特に部屋でのシーンになると急に解放感が出て甘えっぷりが増すんですよ。撮影裏でも、本当に子犬のように大倉に対してスキンシップをとろうとするんだけど、大倉はそっけないんですよね」と明かし会場に笑いが起きた。
続けて監督は、「漫画の中の恭一は従順というか、単純で流されやすいところがあるけど、大倉忠義が演じる恭一は奥底が見えない。だから、余計成田をそうさせたのかもしれない。奥底を覗こうとして溺れるところまでいっちゃうというか。恭一という人物は人たらしですよね。」と分析し、「原作からこの映画が生まれたことは確かだけど、そうやって少しずつキャラクターも違うから、両方見比べると面白いでしょうね」と語った。また、水城は「漫画、映画に共通していて、かつそれがより強調されていたなと思ったのは、恭一さんってやさしさで壁を上手に作るタイプの人で、やさしいしいい人なんだけど、それ以上は入らせないといった一面。今ヶ瀬から見たら、大倉さんが演じた恭一さんの方がよりその壁がなかなか越えられないように思えたんじゃないかな」と恭一というキャラクターについての感想も述べた。

原作について監督は「僕は漫画に疎くって、水城さんには本当に申し訳ないんですが、原作がこんなに伝説の、傑作漫画と言われていることを知らずに作ったんですよ。僕の周りのスタッフにすごく原作のファンが多くて、やたら「映画化するんですか!」とか言われるんですけど、全く気付かなくて(笑)でも知らなかったからよかったこともあるというか。知っていたら、ファンを気にしてキャスティングについてまでもっとあれこれ聞いちゃっていたと思うんですよね」と、作品を撮り終えてからその期待度の高さに驚いたという。それを受けて、水城は「やはり漫画を読みながら読者さんそれぞれの脳内でイメージが出来上がるので、それと全く同じものは絶対に作れないんですよね。逆に、どんな映画、メディアミックスが作られても、読者さんの中にある世界は全く否定されるわけじゃないので、たとえそれが自分のそれとはまったく違ってもいわゆる多様性として、こういう世界も出来たんだなあと思って楽しんでもらうのがいいんじゃないかなと思います」と語った。

最後に、水城から「今の時代SNSが発達していて、この映画に限らずおひとりおひとりが何か思う前に、この作品はこう感じましょうとか、こういう風に観なきゃいけないんだっていうのに無意識に飲み込まれてしまうことが多いんじゃないかと思うんです。お友達やSNSの意見とは違っても、わたしは観てこう思ったというのを是非大事にしていただければと思いますし、是であれ否であれこう思ったというものがあることこそが、その方が真剣に観てくださったということだと思います。誰がどう言ったとかは何も気にしないでいいので、みなさんがそれぞれ思ったことを大切にしていただければと思います」、監督から「漫画を読んだ時にも感じましたが、個人の選択というのが重要なポイントになってきているように思います。人と人が向き合って愛し合うという不確かな行為を、この映画で描けたと思います。これまでも恋愛というものを題材に扱ってきましたが、これは本当に胸を張って「恋愛映画だ」と言える作品になりました」と映画をアピールし、イベントを締めくくった。

9月11日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

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